デビュー当時の標準仕様を踏襲しつつ新たな要素を盛り込んだのは、外観だけでなく内装も同様だった。登場時の車内は、薄緑色の壁に青いシートという当時の標準的な内装だったが、壁には格子状の模様を入れてちょっと高級感ある雰囲気に。一方、後期に登場した6両編成1本、4両編成3本は白い壁と赤いシートの内装で登場し、その後の小田急通勤車両に広がった「暖色系」インテリアのはしりとなった。
8000形は1987年までに6両編成と4両編成がそれぞれ16本、計160両導入された。1世代後の1000形(1988年運行開始)以降の通勤車両はステンレス製車体のため、小田急の通勤電車としては最後につくられた鋼製の「白い電車」だ。
「癖がなく運転しやすい」
それまでの小田急の伝統をベースに当時流行の要素をプラスした、堅実なつくりの8000形。運転士にとっては、「癖がなく運転しやすい車両」だと、1990年代初頭から20数年間運転士を務めた小田急電鉄CSR・広報部の桐山良一さんは語る。
現在は大幅に減ったが、かつて小田急は異なる形式の電車を連結して運行することが多かった。車両ごとの癖はもちろん、連結した際の「相性」も形式によって違うため、その特性に合わせて「いかに乗り心地のよい運転ができるかが腕の見せどころだった」と桐山さん。そんな中、8000形は「どの形式と組んでも相性がよく、安定した車両という印象だった」という。
小田急8000形
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白い車体に青いラインの8000形
8251を先頭にした6両編成(記者撮影)
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新宿寄りの先頭車、8251の正面
(記者撮影)
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8000形は「ブラックフェイス」などと呼ばれる
窓周りを黒く仕上げたデザインが特徴だ(記者撮影)
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角型のライトは1980年代に流行したデザイン
(記者撮影)
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小田原寄りの先頭車8551
(記者撮影)
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小田原寄りの先頭車、8551の前面
8251と連結器が異なる(記者撮影)
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銀色の窓枠が特徴の側面
(記者撮影)
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先頭車両のモーターなし台車
(記者撮影)
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中間車両のモーター付き台車
(記者撮影)
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昭和58(1983)年製を示す銘板
(記者撮影)
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先頭車両クハ8050形の車端部にあるプレート
(記者撮影)
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床下の「界磁チョッパ」制御装置。この方式の
車両は今や小田急でこの編成だけだ(記者撮影)
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床下の抵抗器。VVVFインバーター制御に
更新した車両にはない(記者撮影)
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界磁チョッパ制御車の機器類
(記者撮影)
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新型の自動列車停止装置「D-ATS-P」
2015年9月以降全線で使われている(記者撮影)
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床下の空気圧縮機(コンプレッサー)
(記者撮影)
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赤いシートが目立つ車内。最近の車両にはない
戸袋窓があり室内は明るい(記者撮影)
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シートは1人分ずつ区分されたバケットシート
リニューアル時に交換した(記者撮影)
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先頭車にある車いす用スペース
(記者撮影)
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優先席は青いシートだ
(記者撮影)
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床の模様はよく見ると凝ったデザインだ
(記者撮影)
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床の点検蓋。VVVFインバーター制御に
更新した車両にはない(記者撮影)
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8000形は各車両間の貫通路にドアが付き
通路幅は狭くなった(記者撮影)
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ドアの上にあるLEDの案内表示装置
リニューアル時に設置した(記者撮影)
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すっきりした仕上げの天井
(記者撮影)
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リニューアル時に付けられたプレート
(記者撮影)
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8251の運転台
(記者撮影)
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2ハンドル式の運転台。制御システムを更新した
車両はワンハンドル式に改造している(記者撮影)
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リニューアル時に撤去した「通過表示灯」の
スイッチ(左から2番目)の跡(記者撮影)
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「通過表示灯」は通過列車を示すライト
窓の両上隅にあったが撤去された(記者撮影)
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4つのドアのうち1つを残して閉める
「三扉切放スイッチ」(記者撮影)
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8000形は今も第一線で活躍している
(記者撮影)
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8000形の特別塗装「ポケット号」
1980年代の一時期走っていた(写真:小田急電鉄)
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