ビートルズとアップルの知られざる意外な関係 かつては社名をめぐって法廷闘争も行われた
いずれにしても長い間、“アップル”はビートルズを象徴するアイコンだった。しかし近年では、ビートルズのアップル・コアではなく、マッキントッシュで有名なアップル・コンピューター(正式名称はApple Inc.)を思い浮かべる人のほうが圧倒的に多いのではないだろうか。
Apple Inc.という社名は、同社の設立者であるスティーブ・ジョブズが考案したものだと言われている。フルータリアン(果実食主義者)だったジョブズが、リンゴ農園に行った際に直感的に思いついたという説。「楽しげで元気がよく、威圧的でないから」Appleにしたという逸話が残っているのだそうだ。
ジョブズはボブ・ディランとジョン・レノンのファンで、自社のプレゼンテーションの際にはディランの詩を朗読したり、ビートルズのレコード・ジャケットを使ったりしたことがあるという。そんなことを踏まえると、敬愛するビートルズがかつて同じ名の企業を立ち上げていたという歴史の影響も、たしかに否定することはできないかもしれない。
アップルvs.アップル
しかし1970年代後半から今世紀初頭にかけて、ロゴマークとアップルという社名をめぐっては、コンピューターのアップルと、ビートルズのアップル・コアとの間で、使用をめぐって裁判で争われたことがあるのだという。
両社は一度、1980年代初頭に和解している。和解案はコンピューターのアップルが音楽事業を行わないことと、アップル・コアがコンピューター事業を行わないことだった。だが、今世紀に入ってコンピューターのアップルがiPodやiTunesを開発。これが音楽事業参入にあたるとして、再度起訴問題に発展したのだ。
アップル・コアはビートルズのメンバーの理想からスタートしたわけだが、波紋は近年までに及んでいるということだ。それは、時代を超越した存在であったビートルズが、ITビジネスにまで影響を及ぼしたとも解釈できるのかもしれない。
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