ビートルズとアップルの知られざる意外な関係 かつては社名をめぐって法廷闘争も行われた
例えば興味深いことの1つが、「ネーミング力」だ。例えばアップル・コンピューターという名を知ったとき、ビートルズが1968年に立ち上げたアップル・レーベルのことを思い出した人も少なくないだろう。そんなところに目を向けているわけだ。
目的はアートやエンターテインメントの普及
ビートルズが設立したアップル(正式名称はApple Corps Ltd.)は、ビートルズやメンバーのソロ、さらにはメンバーが気に入ったアーティストのレコードの制作、販売を目的として設立された企業だ。
スタートにあたり、ジョン・レノンは「ビジネスのシステムの中で、アートの自由を確保するために」と、ポール・マッカートニーは「人に夢を提供する共同体に」と、設立の意図を語ったという。
そんなところからも推測できるように、アップルにとってレコード事業は目的の一部にすぎず、実際にはアートやエンターテインメント全般の普及を目指した企業体だったということだ。
事実、一般的には“アップル・コア”と呼ばれていた同社の内部には、レコード事業を手がけるアップル・レコード(Apple Records)のほか、デザイン性の高い家電の製造販売を目的としたアップル・エレクトロニクス(Apple Electronics)、オリジナルの映画を製作、配給するアップル・フィルムズ(Apple Films)、楽曲の著作権を管理するアップル・パブリッシング(Apple Publishing)、“美しい品物が買える美しい店”をうたい文句にしたアップル・ブティック(Apple Boutique)を取り仕切るアップル・リテイル(Apple Retail)など、いくつもの部門があった。
それだけではない。レコーディングができるアップル・スタジオ(Apple Studio)を持ち、若いアーティストを援助するための財団などもつくり、さらには自分たちの子どもに教育を受けさせるためのアップル・スクール(Apple School)の設立も計画されていたというのだから驚かされるばかりである。
ところで気になるのは、「なぜAppleという名称が使われることになったのか?」ということではないだろうか? ビートルズを知る人であれば、誰もが一度は気にしたことがあるだろうが、残念ながら、このことについての明確な答えはないらしい。「子どもがいちばん最初に覚える文字がappleの最初にあるAだから、わかりやすくていい」という理由から決めたという説が一般的ではあるが、ほかにも諸説あるようだ。
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