在宅勤務で「残業代が出ない人」が知るべきこと 「何かがおかしい」と感じている人へ
ところで、この「事業場外みなし労働時間制」が在宅勤務に対して、必ず適用できるかというとそうではありません。
なぜなら、「事業場外みなし労働時間制」は、「会社の具体的な指揮監督が及ばず、会社が労働時間を算定し難い場合」に限り、適用できるからです。
具体的には、「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」において、2つの要件が示されており、
②随時使用者の具体的な指示に基づいて業務を行っていないこと
が必要となっています。
なので、ずっと通信が接続されていて労働者が勝手に回線を切断できず、メールなどで連絡があれば即対応しなければいけない状況で仕事をしているようなケース。また、裁量もなく常に細かい指示を受けて仕事をしているようなケースでは、「事業場外みなし労働時間制」は適用できないことになります。
したがって、もし上記のような働き方で、残業代が払われなくなった場合は、問題がある可能性があるので、まずは会社のルールを確認し、人事部に相談してみてはいかがでしょうか。
在宅中の労災は適用されるか
通常、労働者が仕事中にケガをした場合は、労働者災害補償保険(以下、労災)が適用されます。しかし、在宅勤務時に階段でつまずいて転んで骨折してしまったケースなどのように、在宅勤務時にケガや病気となった場合に労災が適用されるでしょうか。うっすら疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
このところ、在宅勤務中に転んでケガをしたケースや、ずっと固いイスに座りっぱなしで腰痛になってしまったケースなど、在宅勤務特有の労災手続きもいくつか見られるようになってきました。
そもそも、労働者の病気やケガが、労災(業務上災害)として認められるためには、
②業務起因性
が認められる必要があります。
まず①の「業務遂行性」とは、会社の支配、管理下にあったかどうか。つまり、会社で業務をしているときはもちろん、在宅で業務をしているときなども会社の支配管理下にあるので、この業務遂行性が認められることになります。
次に②の「業務起因性」とは、病気やケガの原因が業務であること。例えば、飲食店で調理している最中に手を火傷したような場合は、業務が原因であることが明白で、業務起因性が認められます。
仕事中に風邪を発症したり、持病の貧血によりめまいで倒れて入院したケースなど、仕事中にたまたま病気が発症したような場合には、業務起因性が認められないことになります。
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