自社も競合も丸裸にする「利益」の深堀り分析術 ビジネスパーソンに知ってほしい会計の知識
次に営業利益の売上高に対する比率である「売上高営業利益率」を見ていきましょう。これは「本業の収益力を表す重要な指標」で、最近は売上高営業利益率が10%程度あると「収益力が高い会社」と評価されています。
ただ、営業利益率は業種によって違いがありますから、同業の優良企業の営業利益率を確認することが重要で、そこに差があれば理由を探し出し、対策を打つ必要があります。
「売上高総利益率(付加価値)が低い事業」は、販売管理費を抑え気味にする傾向があります。一方で、製薬業界や化粧品業界などの「売上高総利益率(付加価値)が高い事業」は、研究開発費や販売促進費といった販売管理費が多くなる傾向があり、営業利益率の水準は、売上高総利益率ほど業種による違いはありません。
なお、販売管理費は「効果」を重視する費用と「効率」を重視する費用に分けられ、これを同業の営業利益率が高い優良企業と比較することでも、販売や管理の方針の違いや、その企業の課題などが見えてきます。
一定の額でより多くの成果を生み出す費用。研究開発費や広告宣伝費など
一定のことをより少ない金額で行う費用。物流費など
研究開発費はメーカーにとって、広告宣伝費はBtoCの企業にとって、将来へ向けた「攻めのコスト」として重要な費用です。それらの金額の大きさや売上高に対する比率を、競合企業と比較することも意味があります。
経常利益率と当期純利益率の動きに要注意
ところで「経常利益率」や「当期純利益率」は通常、営業利益率と連動しています。もし連動していない場合は、「営業外損益」「特別損益」「法人税等」などの金額が大きい可能性があるので確認が必要です。
借入金や社債に関係する支払利息などの「営業外費用」が大きい可能性が高く、借入などが多くなっている「財務が弱い企業」かもしれません。
預金の金利や株式の配当などが多く、支払利息などが少ない「財務が強い企業」といえそうです。
「特別損失」や「法人税等」が大きい可能性があります。特別損失の原因が自然災害などであればやむをえませんが、事業の見直しなどによる損失の発生や、事業不振による減損損失などが原因である場合には、その内容や今後への影響を確認することが重要になります。
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