客を乗せない「事業用車両」に訪れた大変革時代 「機関車と貨車」から電車・気動車に置き換えへ

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E493系は車両の入換や回送列車の牽引に使用する電車で、2両編成を組む。400番代の形式は、直流電化区間と交流電化区間の両方を走ることができる交直両用電車であることを示している。

E493系は2両編成の牽引車。交直両用電車なので、電化区間ならどこにも入線が可能だ(画像:JR東日本提供)

JR東日本の車両を検査する総合車両センターのうち、郡山と秋田は交流電化区間内にある。ここで検査を受ける直流電車もあり、直流電化区間から交流電化区間に直通できる牽引車両が必要となることから、E493系が交直両用となるのは、必然だと言える。

JR東日本は、この2形式のほかにレール輸送用気動車キヤE195形の配備を進めており、間もなく稼働が始まると思われる。

2018年に先行車を投入して性能試験を行い、量産車の投入を進めてきたキヤE195系。いよいよ本格運用を開始する(筆者撮影)

キヤE195形は荷台にレールを積載して、保線現場へと輸送する気動車だ。150mロングレール輸送用の11両編成と25m定尺レールを輸送する2両編成がある。キヤE195形はすでにJR東海が実用化していたレール輸送用気動車キヤ97形をベースとして耐寒耐雪仕様としたものだ。つまりJR東日本がJR東海の技術供与を受けた珍しい例である。

「貨車と機関車の淘汰」が狙い

GV-E197系、E493系、キヤE195系を投入する目的は砕石輸送用貨車とレール輸送用貨車、そしてこれらの貨車と回送列車を牽引する機関車の淘汰である。いずれも国鉄時代に製造され、経年は40年以上と老朽化が進んでいる。

現在、採石場最寄りの駅から各地にバラストを輸送しているホキ800形ホッパ車も老朽化が進んでいる(筆者撮影)

JR東日本のプレスリリースでは「機関車・貨車特有のメンテナンス方法や運転操縦を廃し、効率的なメンテナンスが可能となる」と説明している。ここで注目したいのは「特有の運転操縦」だ。

機関車は重い貨物列車をスムーズに牽引するために、マスターコントローラーのノッチ段数が細かく刻まれており、繊細なコントロールが必要だ。また、ブレーキが機関車用の単弁(単独ブレーキ弁)と編成用の自弁(自動ブレーキ弁)に分かれており、列車牽引時にブレーキをかける場合は2つのブレーキレバーを巧みに操作する必要がある。

次ページ「特有の運転操縦」だけでなく資格も違う
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