葛飾区が熱望「貨物線旅客化」は現実的なのか 「新金貨物線」交差する国道の立体化がカギに
踏切はすでに渋滞していた。
国道6号と新金貨物線(しんきんかもつせん)が交差する「新宿新道踏切」だ。葛飾区は、総武本線新小岩駅と金町駅を結ぶ新金貨物線を複線化し旅客列車を走らせたい。その懸案がこの踏切だった。日中は定期貨物列車が2本、ほかに臨時列車や回送列車があるかないかという単線の踏切だ。
そこに旅客列車が15分間隔で走れば、踏切閉鎖時間が長くなる。交通量の多い国道6号(水戸街道)が渋滞する。
問題の踏切は現状でも渋滞
そこで葛飾区は、列車を道路信号に従わせる運行方法を検討している。東急世田谷線と環状7号線が交差する「若林踏切」の方式だ。貨物列車の踏切は残すとしても、旅客列車が原因の踏切渋滞は回避したい。当初は普通の電車とLRV(ライトレール車両)で検討したけれども、踏切渋滞が不可避ならば、AGT(新交通システム)やモノレールを高架で通す案も含めた。葛飾区は整備を前提とした調査研究を日本交通計画協会に委託しており、2021年3月19日まで実施される。
さらに、先行して国道6号の南側、京成高砂駅付近と新小岩駅を先行開業する案も検討する。京成金町駅と京成高砂駅を結ぶ京成金町線と先行区間を組み合わせれば、葛飾区が求めている南北縦貫鉄道の体裁が整う。すでに葛飾区は調査機関に実現性を依頼した。
それほど葛飾区を悩ませる踏切を見物しに来たら、もうとっくに渋滞していたというわけだ。旅客化によって渋滞がひどくなるどころか、これ以上踏切を塞いだら交通は麻痺しそうだ。旅客化を検討する前に、まずは国道6号の跨線橋化を検討すべきではないか。そのうえで新金線を複線化し、LRVあるいは一般旅客車両を運行したほうがいいと思う。
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