葛飾区が熱望「貨物線旅客化」は現実的なのか 「新金貨物線」交差する国道の立体化がカギに
葛飾区は旅客化にあたり、国道6号は道路優先信号とする案を検討している。これは東急世田谷線と環状7号線の「若林踏切」という前例がある。電車が踏切に接近した場合も交通信号が赤から青になるまで待つ。道路側も交通信号に従うから、クルマは青信号で通過し、踏切の一旦停止義務はない。
道路信号設置踏切は江東区内にもある。貨物線の越中島支線と永代橋通りが交差する「幹線3号踏切」だ。ここもクルマは青信号で一時停止なしで通過する。鉄道優先ではあるけれど、貨物列車を走らせる場合は事前に徒歩で警備係がやってきてクルマへ注意喚起する。したがって貨物列車の速度は遅い。ここまでしないと貨物列車の踏切はクルマと共存できない。
新金貨物線の国道6号「新宿新道踏切」も同じく、道路信号が設置されている。クルマがこの踏切を通過する場合は青信号に従い、一時停止は不要だ。ただし貨物列車は最高時速100kmで走るから、道路信号では止められない。したがって踏切も設置されており、鉄道優先になっている。貨物列車を道路信号で停めるためには、鉄道信号と道路信号を連動させて、もっと手前から減速させる必要がある。
まずは渋滞緩和が必要だ
さらに困ったことは「幹線3号踏切」「新宿新道踏切」ともに、本来不要な一時停止をするクルマも少なくない。踏切警報機が目立つため、踏切と認識して一時停止する。そういうクルマがいるだろうと想定して、一時停止不要とわかっているクルマも減速し追突を避ける。この減速に加えて、前後の交差点の赤信号に連鎖して、踏切周辺の渋滞が起きている。
このままでは、旅客線をAGTやモノレールで立体交差化した場合も、現在の渋滞は解決しない。国道6号沿いには2021年度内に葛飾赤十字産院が「東京かつしか赤十字母子医療センター」の名称となって移転開業予定だ。国道6号には救急車も通行するだろう。救急医療面を考えても渋滞緩和が必要ではないか。新金貨物線の旅客化は必要だ。しかし、国道6号の単独立体工事が先決だ。せめて片側1車線の跨線橋を造り、線路をまたげば渋滞を改善できる。
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