葛飾区が熱望「貨物線旅客化」は現実的なのか 「新金貨物線」交差する国道の立体化がカギに

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しかし葛飾区はあきらめず、1993~1994年度に調査検討を実施した。

新金線と予定駅。赤色の中間5駅含む全7駅を基本とし、ブルーの3駅を加えた全10駅も検討している(画像:国土地理院地図を筆者加工、一部編集部追加加工)

新金線旅客化運動の転機は、2000年に武蔵野線南流山駅―西船橋駅間が貨物列車の運行ルートとなったことだ。総武本線千葉駅付近の貨客分離が行われ、新金線経由の貨物列車のほとんどが武蔵野線経由になった。現在は隅田川貨物駅や東京貨物ターミナル駅などと鹿島臨海鉄道神栖駅(茨城県神栖市)を結ぶ貨物列車の最短ルートの役割がある。また、越中島支線と連携したレール輸送列車が走る。

これらの列車は主に夜間から早朝にかけて運行されるから、日中の踏切稼働が減った。そこで、悲願の旅客線化構想が活発となった。葛飾区は2003年にも調査研究を実施している。

葛飾区は新金線旅客化の叩き台として、2019年3月に「新金貨物線旅客化の検討資料」を公開した。この時点の基本事項として、「既存の新金貨物線の施設や構造物等を最大限に活用」「貨物列車の運行継続」「他路線との直通はしない」「国道6号踏切は道路信号に列車が従う」「電車とLRVの2案」「新小岩駅・金町駅はJR駅と乗り継ぎを考慮」「中間駅の設定」「根拠法はまだ考慮しない」だった。概算事業費は電車案が約200億円、LRVが約250億円と予測した。

国道6号の踏切が課題

ところが、1年後の2020年3月に公開された「令和元年度 新金線貨物線旅客化に向けた調査検討」では、貨物列車の運行に合わせて鉄道事業法に基づく整備としつつ、末尾に「新交通システム等の導入検討」と付され、モノレールやAGTが候補になった。

その理由は前年の「国道6号踏切は道路信号に列車が従う」について、鉄道では難しいのではないか、と重点的に検討が行われたからだ。貨物線旅客化の話が、貨物線に沿った新しい交通整備の話になりつつある。

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