客を乗せない「事業用車両」に訪れた大変革時代 「機関車と貨車」から電車・気動車に置き換えへ

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民鉄では東武鉄道、西武鉄道、小田急電鉄、相模鉄道が車両を輸送していた電気機関車を廃止し、電車に置き換えた。

東武鉄道では8000系と850型が客車やディーゼル機関車を挟んで輸送するシーンが見られた(筆者撮影)

電車・気動車と機関車の性能的な違いは牽引力だ。電車・気動車は複数の動力車で編成を組むので、1両当たりの出力はそれほど高くなくても問題ないが、機関車は重い貨物列車を牽引するため高出力となっている。

民鉄の場合は、それほど高出力の機関車が必要ないケースも多く、電車での代用は容易だと言える。それでも西武鉄道は牽引用の4両編成は全車を動力車として、牽引力を稼いでいる。

電車・気動車が「機関車代わり」になる条件

JR東日本でも、荷が軽ければ電車・気動車で問題はないだろう。

西武鉄道は4両全車電動車の101系を車両輸送用に用意している(筆者撮影)

しかし、10両編成の電車を牽引して峠を越えることも多く、そうなると牽引力はもとより、スリップ対策も重要だ。重くてきめ細かい制御ができる機関車に対し、電車や気動車は軽いので重い車両を牽引するとスリップしやすくなる。もっとも、最近の電車はVVVFインバータ制御により、スリップはしにくくなっているが。

まだGV-E197系とE493系の詳細が明らかとなっていないが、かなり強力なモーターを搭載する可能性がある。もしかするとE493系には牽引される電車と協調運転ができる機能が搭載されるかもしれない。

キヤE195系の運用が始まり、GV-E197系やE493系が量産されると、レール輸送、砕石輸送用の貨車と、貨車や回送列車を牽引する機関車は廃車となると思われる。そして、JR東日本の保有する機関車は蒸気機関車のみとなる公算が高い。

蒸気機関車は文化遺産としての価値が認められているが、電気機関車やディーゼル機関車に対しては残念ながらそのような流れがない。願わくば、少数でも電気機関車、ディーゼル機関車も残してもらいたいものだ。

松沼 猛 『鉄おも!』編集長

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まつぬま たける / Takeru Matsunuma

大阪府出身。明治大学文学部卒。株式会社三栄書房に20年間在籍し、編集者として世界各地を飛び回った。2008年12月から『鉄道のテクノロジー』編集長を務めた後、2013年5月に独立。現在は『鉄おも!』編集長のほか、『鉄道ジャーナル』『ニューモデルマガジンX』『カーグッズマガジン』、鉄道、自動車関連ムックなどに執筆。

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