子ども食堂が「悩める大人の救い」にもなる理由 フードパントリーから広がる「救いの手」

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「2カ月前にアンケートでどこに住んでいるか聞いたんですが、電車やバスを使わなければ来られない人が何組もいました。周囲の人には困っているって言えない人も、困っていることを知られたくない人もいるんやと思いました。何に困っているかは人それぞれなので、支援が必要な人にそのいとぐちが見つかったらと思います」

社協の紹介などでボランティアも増えた。先月から参加しているという技術職の男性(44)は、相談用のテーブルにさまざまな支援が載った資料や、行政の非常勤職員の募集状況一覧をコピーして準備していた。

「今日は、『資格をとって生活を前に進められたら』と話す方がいたので、持ってきたパソコンで一緒に探しましょうと検索しました。わからないことがあっても、そばに区役所や社協の職員の方がいてくださるので、専門家に即座につなげられました」

この日の相談者はほかに3人。深刻な相談は社協職員の中納さんが担当した。

「私たちも窓口にいるだけではなく、アウトリーチ、つまり支援が必要なのに届いていない人たちに働きかける場に出ていかねばならないと感じて動いています。地域の人たちとの協同のロールモデルを作り、支援の輪を広げていきたいと思います」

「必ず道がある、光がある」

岡部さんは、「深刻な相談をしてこられた方は、4回目の参加でした。4回通って、やっと相談ができたんやと思います。必ず道がある、光がある、ということを伝えていけたら。親の不安は子どもに伝わります。いろんなことを諦めてしまう子たちを減らしたい。そのためにシングルマザーを支援していきたい」と話す。

岡部さんの人脈などで寄付金も集まり、当面の運営資金は確保しているが、今後参加人数が増えた場合を見越し、安定した資金確保を模索している。

岡部さんは、住職の妻としての仕事と育児にも忙しいし、前出の松尾さんもワーキングマザーだ。2人が活動できるのは、彼女たちの思いに賛同して一緒に動いてくれる人たちがいるから。

えび庵ふぁんは、朝の掃除と仕込み、調理配膳、終了後の片付けをする人がそれぞれいて、運営できているという。「私にもできることがあれば」という「共助」の思いと、社協の「公助」もあって、2つの活動は広がり始めている。

須藤 みか ノンフィクションライター

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すどう みか / Mika Sudo

長く上海を拠点に活動したのち、2014年秋帰国。現在は、大阪、在日中国人のほか、子どもと読書、子どもの育ちにかかわる職業などをテーマに取材。著書に『上海ジャパニーズ』他。2009年、『エンブリオロジスト 受精卵を育む人たち』で第16回小学館ノンフィクション大賞受賞。「本好きキッズの本棚、見せて見せて!」などに連載中。

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