子ども食堂が「悩める大人の救い」にもなる理由 フードパントリーから広がる「救いの手」

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岡部さんは昨春、緊急事態宣言下の臨時休校中にママ友から、区内の子ども食堂の「しま☆ルーム」が配食をしていると聞いた。給食がなくなり、困っている子たちに届けたいと、弁当作りを買って出た。

毎週50食を3カ月近く、住職らと一緒に作って届けたが、ある日、「夜の店で働くシングルマザーやその子どもたちはどうしているんだろう」と気になった。お弁当作りを通して知り合った中央区社会福祉協議会(社協)職員の中納宏之さんに相談して、フードパントリーを実施することになった。

「悩める大人」も救うフードパントリー

岡部さんは、3年前までラウンジを経営しながら2人の子を育てるシングルマザーだった。

「支援の手が届いていないのではないかと思ったんです。私自身が役所のことも、福祉のこともあまり知りませんでしたし、役所ってハードルが高いイメージなんですよね。このフードパントリーがきっかけになったらって思っています」

もともとお寺には、たくさんのお供え物が寄せられる。それまでも周りに配ってきたこともあり、フードパントリーという発想は自然な流れだった。

初回は、4組6人だったが、回を重ねるごとに参加者は増えている。7回目となった1月は前回より5組増えて、40組の親子が訪れた。食品を受け取ると足早に出ていく人もいるが、多くが少し立ち話をしていく。

「つい子どもをたたいてしまうんです」と言う人がいれば、「そうなんやね」と耳を傾ける。少しでも心の拠り所になって、1日でも2日でも安らかな気持ちになればと願う。「簡単にできるレシピを教えて」と言われ、公式LINEで簡単に安くて美味しくできるレシピを発信するようにもなった。

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