表面的なDXの末路「リモートで成果が出せない」 6000人の在宅勤務を可能にするデジタル組織
守りのDX③ 従業員向けエッジデバイス(端末)の選定
この2つはDXの必要性が言われるようになる前から、取り組んできた企業は多いのではないだろうか。「バックオフィスのデジタル化」はリストラクチャリングの一環、「従業員向けエッジデバイス(端末)の選定」はなるべく費用も管理の手間もかからないものを選ぶ、というような認識だったと思う。
DXでは生産性を高めるものという視点をもつことが必要だ。前者ならば社員各人の担当業務・役割とそのパフォーマンスをデータ化し、社員それぞれに、AIから自動的にアドバイスを送るようなサービス機能を開発することも可能だ。後者は「安くて長持ちするものを一律支給」というコストの発想ではなく、「従業員の生産性に直結する」という意識のもとで、エンプロイーサクセス(従業員の成功)への投資として、選定を行うべきだ。
多くの方が消費者として体験していることだと思う。小売店や飲食店を利用した際に、口コミサイト、デジタルサイネージ、タッチパネルによる注文、セルフレジといったものを、見たり触ったりしたことがあるはずだ。Amazon Goのような無人店舗は究極の効率化と言える。
リアル店舗をアナログ的価値、例えば品質・味、ブランド力、親近感や物理的な距離の近さといったものだけで勝負できるのは、ごく限られた特別な店舗になっている。
新型コロナウイルスで、外出自粛が求められるようになって、中途半端なアナログの価値の優位性はいっそう薄れ、アナログ的な高い価値を持たない店舗、いやその価値を持っている店舗でさえ否が応でもデジタル武装を迫られている。リアルとデジタルの融合を実現させる最先端の場になっている。
ネットワークインフラ設計はDXを行ううえで、最も重要であるが、難易度も高い。新型コロナの影響で、リモートワークをすることになった人は多いはずだが、自宅の回線、とくにラストワンマイルを住民で共有するマンションの光回線で、「スマホより遅い!」と悩まれた方は結構多かったのではないだろうか。
加えて、社外から自社のイントラネットにどう接続するか、どのデータまで接続させるかについて悩まれたシステム担当者は多かったのではないだろうか。
守りのDXも、攻めのDXと同様に、デジタル機器と回線を用意して、「はい、終わり!」ではない。やはり、組織やビジネスモデルの再設計、とくに組織内でのコミュニケーションの再設計が必要になる。もちろん、組織外へのコミュニケーションの仕方も変えざるをえない。
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