表面的なDXの末路「リモートで成果が出せない」 6000人の在宅勤務を可能にするデジタル組織

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攻めのDX⑤ LTVを高めるプラットフォームづくり

まず、LTVとは何かについて説明していこう。LTVとは顧客生涯価値、簡単に言うと、お客様と時間をかけてつき合い、自社とお客様の間にWin-Winの関係をつくることである。

例えば、ある事業者が簡単なサービスを無償で提供する。あるいは、破格の値段や配送料でモノを提供する。それをいいと感じた利用者は関連するサービスや商品に追加でお金を投じる。その売り上げで事業者は利用者(リピーター)が好むサービスや商品に投資し、リピーターはそれに再びお金を投じる。

楽天やAmazonは、物販からはじめて動画配信、金融サービス、トラベルなど多岐にわたるサービスや商品を提供するようになり、そこに自社ポイント制度を構築し、プラットフォームをつくった。プラットフォームが強固になれば、ポイント経済圏ができあがり、長期的に顧客はその中で買い物を楽しむようになる。企業側からみれば囲い込めるようになるわけだ。

ここまで、攻めのDXをみたが、いずれもデジタル技術を導入して、「はい、終わり」ではないことはおわかりいただけただろう。取り組みを定着させるには、ビジネスモデル、組織に対して、入念な設計、あるいは再設計が必要になる。とくに攻めのDX⑤の「LTVを高めるプラットフォームづくり」などは、デジタル技術導入後もかなりの長期にわたった取り組みになるため、組織や人材のてこ入れは必須となる。

社内外のコミュニケーションの再設計が求められる

次に、もう一方のDX、「守りのDX」をみていこう。こちらも主に5つある。

守りのDX① 生産性を高める各種アプリケーションの導入

主にコミュニケーションを支援するものである。具体的には、メール、カレンダー、オンライン会議ツール、チャットツール、社内Wikiなどである。これらの選択のポイントは、いかに効率よく、かつ効果的にコミュニケーションがとれるのかに尽きる。

ただし、アプリケーションを選択する前に、組織内やチーム内で「誰と誰が、いつ、どのようなツールを利用して意思疎通をするのか」を決めておく必要がある。コミュニケーションのポートフォリオを作っておかないといけない。その設計に対して、効率よく、かつ効果的なアプリケーションを選択する。

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