表面的なDXの末路「リモートで成果が出せない」 6000人の在宅勤務を可能にするデジタル組織
筆者がKADOKAWAで仕事を開始した2018年10月以前から、デジタル印刷、電子書籍、各種Webサービスの開発をはじめとした「攻めのDX」を進めていた。そして「守りのDX」としては、ABW(Activity Based Workstyle:「時間」と「場所」を自由に選択できる働き方)というコンセプトで働き方改革を進めていた。
ただ、私がKADOKAWAで最初に参加をしたミーティングではカラー印刷の資料が配付されるなど、まだアナログな部分が残っている印象があった。
その後、2019年には、総務・人事・ICTチームが連携し、ABWプロジェクトを一気に進めた。
1つはKADOKAWAグループの一員であるドワンゴで、ニコニコ動画などの配信基盤を設計・構築・運用していたインフラエンジニアにKADOKAWA Group全体のDXを推進する会社であるKADOKAWA Connectedへ移籍してもらい、ABWを実現するネットワークの基盤を整備した。
DXはデジタル技術を用いた「変革」
同時に、KADOKAWAグループで働く人々のデジタルリテラシーの底上げをするための施策を行った。例えば、チャットの利用の仕方などである。最近では、Slack(スラック)やチャットワークなどを、連絡用に導入している企業も多い。ただ、導入しただけでは、業務に関係ない雑談が増えすぎたり、チャネル(グループや議題ごとのスレッド)が乱立したりする。
そこで、KADOKAWAでは、チャットの基本マナーについて、研修会を行ったり、マンガ(紙と電子化したもの)で広めたりした。
これはチャットに限ったものではなく、コミュニケーションツールの使い方を説明し、使い分けの仕方を説明していったのである。コミュニケーションポートフォリオをつくり、それを周知させていくための活動だったと言える。
2019年より進めていたABWの流れと、そして人事・総務・経営企画、管理、広報など、経営を支えるチームの連携により、6000人規模のリモートワークを実現できるようになった。デジタル機材やネットワーク整備は必要であるが、それだけでリモートワークが定着するわけではない。DXはデジタルトランスフォーメーションを指す言葉であるのは読者のあなたもご存じだろうが、デジタル技術を用いた「トランスフォーメーション(変革)」であることを理解してほしい。
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