表面的なDXの末路「リモートで成果が出せない」 6000人の在宅勤務を可能にするデジタル組織

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攻めのDX② デジタルサブスクリプションサービス

最近、展開している企業が増えている領域だ。サブスクリプションはもともと「定期購読」を意味する。そこから転じて、期間に応じて「定額使用料を支払う方式」の意味で使われるようになった。Amazonプライム、ニコニコのプレミアム会員、YouTube Premiumなどが代表的なサービスである。利用者が集まれば比較的短期で利益を出せる。

ただし、利用者を維持するのは、主に2つの点で難しい。1つは魅力的なコンテンツや体験を作り続け、利用者が継続利用したいと思えるようにしておくこと。そのためには、コンテンツや体験を提供するクリエイターやアーティストへの還元を徹底する必要がある。

もう1つは、コンテンツやサービスを提供するインフラ「IaaS/PaaS/SaaS」のコストマネジメントを適切に行うこと。これができていないと最後はコスパで負けて、競合に乗り換えられてしまう。

デジタル技術を導入して「はい、終わり」ではない

 5つあるうちの3つ目を見ていこう。

攻めのDX③ 個別課金によるデジタルサービス

個別課金もサブスクリプションサービスと同様に、魅力的なコンテンツがあればマネタイズしやすい。一方で、継続して魅力的なコンテンツやサービスを作り続けないと、リピーターはつかめない。リピーターがつかめないと、サービスの事業としての継続が危うくなる。

加えて、一度、購入されたコンテンツを事業者サイドの都合で勝手に削除することは難しい。ご自身が購入した電子書籍や動画にアクセスできなくなったことを考えてほしい。そうした状況になったら、「この事業者は信頼できない」となるのではないか。事業を継続する仕掛け、そしてコンテンツや情報を維持する仕掛けが重要になってくる。

攻めのDX④ ECの仕組み

デジタルとリアルの橋渡しを行う存在であり、デジタルの情報によって物理的なモノを動かす仕組みであることは間違いない。楽天でもAmazonでも、ECビジネスがコアであり、ここでの知見をさまざまなビジネスへ応用していっている。

ECの仕組みをつくるためのポイントは大きく2つある。

1つはサイトのブランドと認知度。つまり、自分たちが運営されているECサイトは「○○分野に強い」というマーケティング上の差別化ができていることが重要だ。これができない場合は、2つ目のシステムのインフラやバックエンドの仕組みで勝負するほかない。

つまり、ID取得のしやすさ、ログインのしやすさ、決済・ポイント制度の確立、物流、配送で勝負する必要がある。専門性よりは網羅性や検索性で勝負している楽天やAmazonが後者で火花をちらしているところをみれば、ご理解いただけるだろう。

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