イスラエルが超エリートをやたら輩出できる訳 多様な人材に最大限の力を発揮させる仕組み

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タルピオットはエリート技術者を育てるプログラムだが、単に技術を教えるだけでなく、そうした領域にまで議論させるという特徴を持っているということである。だとすれば、そこに大きなポテンシャルが秘められているであろうことは想像にかたくない。

そして最後は、ハンズオン・テクノロジー・グループ・プロジェクト(Hands-on Technology Group Projects)という経験をする。このプロジェクトのポイントは、研修生自身がほかのアサインメントを持ちながら開発に割けられる自分の時間を決めたり、予算の使い方までのすべてをマネジメントしたりしなくてはならない点。

すなわち、スタートアップ企業を経営することと同等の経験をさせるわけだ。研修生は3年間に3から4のプロジェクトを経験することを求められる。

イスラエルならではの強み

3年間のタルピオットを卒業すると、最低6年間の兵役義務が課せられる。ちなみに忘れてはならないのは、卒業時点で彼らがまだ21歳だという事実である。

タルピオットは3年間で終わるが、プログラムの運営側は、個々の研修生が30歳前後になるまで、そのキャリアをエスコートするそうだ。育てた人材がその力を最大限に発揮できるように、卒業後も見守るのである。6年間の兵役後、引き続き軍に残る人材もいれば、アカデミーに進む人間もいるし、起業を志す人間もいる。それぞれが最適な道を選べるように、タルピオット側が個々人のキャリア開発を支えているのである。(141ページより)

重要なポイントは、どのような道を選択するにしても、3年間寝食を共にした、日本流に言えば「同じ釜の飯を食った」クラスメート同士の絆は非常に強いということだ。シビアな人材育成プログラムを経験したトップエリートの50人は以後も深い人間関係を維持することができ、だからこそ折に触れて相談や情報交換ができるわけである。

言うまでもなく、それはイスラエルの強みの源泉の1つなのだろう。とりわけ起業した場合などは、何か課題に直面したときに信頼できる相談相手がいることには大きなメリットがあるはずだ。

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