それに対して、いまの平均寿命は84歳と、当時よりも16歳も延びています。同様に8年間の年金がもらえるとすれば、支給開始年齢は60歳から76歳に繰り上げるという選択肢もあるわけです。これから平均寿命はさらに延びる可能性があり、年金の支給が75歳からになっても、全体として当初と比べれば、それほど変わりはないのです。
退職年齢の引き上げも選択肢
さらに、定年後にも働きたい人が増えています。定年後の就業意識についての調査では、「生活費を補いたい」「働いたほうが健康にいい」「おこづかいを増やしたい」「社会との接点がほしい」などが働きたい理由としてあがっています。働く意欲のある高齢者はとても多くなっています。そのうえ、高齢化とともに、高齢者の1人世帯が増えていく中で、社会とのつながりが必要になってきています。
また、日本人が健康でいられる年齢が明らかに上がっています。平均余命が伸びた恩恵を社会が享受するには、高齢者が健康や能力に応じて活躍できることが必要になってきます。法律では2025年度には企業が社員を65歳まで雇用することを義務化しましたが、健康でいられる年齢が伸びているのに、退職年齢を65歳までしか延ばさないのは、おかしな話です。
これらの点を政治家がきちんと説明すれば、退職年齢を75歳に引き上げて、消費税を20%にする案が、ほかの2つの案よりマシだとわかり、国民も嫌々ながら納得してくれると思うのです。その際、65~75歳までの間、年金は受け取れませんが、年金保険料も支払わなくていいという制度にしたらどうでしょうか。
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