「赤い電車」と言えば名鉄、愛知ご当地鉄道事情 多種多様な電車と複雑な路線網のクセがすごい

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金山駅から再び複線に戻って地下に入り、名鉄最大のターミナル・名鉄名古屋駅。地上は巨大な着せ替え人形「ナナちゃん」でおなじみ名鉄百貨店だ。

かつて名鉄特急の代名詞だった「パノラマカー」の系譜を引く1200系。写真は犬山線(筆者撮影)

名鉄の列車は名古屋本線を中心にいくつもの支線を持ち、その多くで名古屋本線からの直通列車が設定されている。だから、名鉄名古屋駅からの行き先は文字通り多種多様。豊橋方面に向かう列車だけをとっても、豊橋行に東岡崎行き、さらには豊川線直通の豊川稲荷行きに西尾線直通の西尾・吉良吉田行き、常滑線方面の中部国際空港行や河和線河和行きなど、まさにあちらこちらへの列車が名鉄名古屋駅に集う。

ところが、名鉄名古屋駅は3面2線というターミナルとは思えないほどのシンプルな構造になっている。上りと下りで線路を分けているだけで、多様な行き先の列車が同じホームにやってくるというわけだ。分刻みでやってくるあらゆる行き先のあらゆる種別の列車をたくみにさばく名鉄の運用術はもちろんのこと、列車を間違えずにこともなげに乗り込んでゆく名鉄ユーザーたちの動きにも圧倒されること間違いなし。ときに神業と称されることもあるくらいだ。

が、裏を返せばこの名鉄名古屋駅は間違いなく初見殺し。見ているのは面白いけれどなんとかならないものか。すると、2019年3月にホームの拡張計画が発表された。これで初心者でも安心……と思ったのもつかの間、新型コロナウイルスの影響でこの拡張計画の着工も延期されてしまった。

西尾線があれば尾西線もある

日本一といっていいほど複雑怪奇な名鉄名古屋駅を過ぎてしばらくすると、犬山線が北東に向かって分かれていく。犬山線の末端近く、犬山駅では広見線とも接続、終点の新鵜沼駅では各務原線と接続している。特急「ミュースカイ」なども乗り入れる、名鉄にとっては名古屋本線に次ぐ重要路線の1つだ。明治村やモンキーパーク、国宝犬山城などの観光地へもこの犬山線で行くことになる。

津島線内を走る5000系。2008年にデビューしたステンレス車体の車両だ(筆者撮影)
名古屋鉄道では最も古い歴史を持つ尾西線(筆者撮影)

その先も分岐路線が立て続け。須ケ口駅で津島線、名鉄一宮駅で尾西線が分かれる。津島線も尾西線も愛知県の西の端っこを走る通勤路線で、1898年に弥富―津島間で開通した尾西線は名鉄全路線の中で最も古い。開業当時は尾西鉄道といい、その後いくつもの事業者が合併して名古屋鉄道を形作っていく中で、尾西鉄道も吸収されている。

名古屋本線は木曽川堤―笠松間で木曽川を渡る。木曽川の先は岐阜県だ。岐阜県内にも各務原線や竹鼻線・羽島線などの名鉄の路線がいくつもあるのだが、それはいずれ岐阜県の鉄道事情を紹介する際に触れることにしよう。

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