それ以外で印象的だったのは、保健所職員の激務を伝える特集を報じるために、保健所で撮影していたことに対する反発。リモート出演してもらうのではなく、現場でのインタビューだったことに疑問の声が挙がり、さらに効果的な改善策を提示することなく終わりました。また、クリニックに定点カメラを置かせてもらって撮影した番組もありましたが、スタッフが設置したにしろ、宅配で送って設置してもらったにしろ、感染リスクを完全に排除することはできないでしょう。
スタジオの撮影に関しても、人々の批判は止まりません。ネット上には「これだけ感染拡大しているのに、いまだにソーシャル・ディスタンスとアクリル板だけとかありえない」「せめてマスクくらいはしてほしい」「メインキャスター以外は全員リモートでいいはず」「『バイキング』(フジテレビ系)のような討論型の番組などもってのほか」などの厳しい声が目立ちます。
その他にも、「スタジオの人数を制限するために、コメンテーターを別室から出演させている番組が多いが、局に呼ぶために外出させているのだからダメだろう」「複数人が接触するであろう何枚ものパネルを使うのはどうなのか。マルチスクリーンなどのデジタル機器でいいのでは」などと制作サイドが思っている以上に視聴者の目は鋭いものがあるのです。
業界全体が“コロナテレビ”に
このところ再びキャスターたちが番組内で外出自粛を呼びかけるメッセージを伝えるようになりましたが、番組の感染予防対策に納得できない状態では説得力はありません。もはや「感染予防のガイドラインをもう一歩進めたものに改訂し、そのうえで一般公開する」くらいのことをしなければ視聴者の理解は得られないのではないでしょうか。
昨年の春から初夏にかけてそうだったように、テレビをつけると、どのチャンネルも早朝から深夜までコロナを扱った番組ばかり。再び各局が“コロナチャンネル”と化し、引いては業界全体が“コロナテレビ”と化すなど、重苦しいムードを感じさせる要因の1つとなっています。
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