こうしたパンデミックに直接関わるリスクは、言うまでもなく個別の企業や個人の状況によって異なってくる。業種によっても、本社や工場、住居のある地域によって異なってくるはずだ。
さらに、パンデミックによる影響は直接的なものだけではない。社会全体の構造にも変化をもたらしている。リモートワークの普及などによって、オフィスのあり方や交通機関への影響もあるが、事前には予想できなかった事態も少なくない。例えば、次のような変化がリスクとなる場合もある。
社会・産業構造も大きく変わる
会議システムや決済システムなど、一連の仕事がリモートワークとなり、デジタル化が急に進行するリスク。
デジタル化社会への転換に伴って、企業の「DX (デジタルトランスフォーメーション)」への取り組みが急務となっている。DXとは、企業がデータやデジタル技術を駆使して、組織の活性化やビジネスの成功を目指す手法であり、このDXの波に乗り遅れてしまうのも企業のリスクと言っていい。
今回のパンデミックで話題になったのが、ウイルスの発生原因は気候変動によるものであり、この問題を解決しなければ、第2の新型コロナウイルスや新種のウイルス発生によって、人類全体が脅かされるというリスクだ。そのため、各国政府は脱炭素社会への急速な転換を図っており、遅れていた日本も重い腰を上げて、脱炭素社会を目指す方向へと舵を切った。中小企業といえども、今後は脱炭素社会への切り替えが求められることになる。企業にとっては、デジタル化と同様にリスクになると考えていいだろう。
世界的なパンデミックが長期化した場合、食料資源や鉱物資源、エネルギー資源といった産業活動や人間の生存に不可欠な資源が、地域を問わず不足したり、枯渇したりするケースが出てくるかもしれない。平時にこうした資源をプールしておくことが重要かもしれない。
パンデミックの長期化は、人々の行動制限が課せられるために、飲食店や観光、交通といったセクターが大きな影響を受けることになる。その反面、リモートワークに必要なツール等の開発企業は大きな飛躍を遂げることになる。今や自動車産業のライバルはTV会議システムの大手企業「Zoom」だとさえいわれている。まさにルネサンス級の構造変化が起こりつつあるわけだ。
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