第3波で慌てた組織はリスク管理ができてない 対処は重要だが予防こそ軽視してはならない

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2回目の緊急事態宣言に備えて、リモートワークの拡充や資金面の手当てなど、すべきことは数多くあったはずだ。とりわけ、飲食店や宿泊、観光業といったセクターでは、生き残っていくためのアイデアを準備するなど、緊急事態宣言というリスクに立ち向かう必要があった。

実際に、緊急事態宣言が出てから対処するのは危機管理であって、リスク管理にはならない。リスク管理の重要性がわかるはずだ。

リスク管理における8つのプロセス

では、リスク管理の方法とはどんなものがあるのだろうか。一般的には、次の8つのプロセスを通してリスク管理をするのが基本と言われている。

①リスクの発見および特定
②リスクの算定
③リスクの評価
④リスク対策の選択
⑤リスク対策の実施
⑥残留リスクの評価
⑦リスクへの対応方針および対策のモニタリングと是正
⑧リスクマネジメントの有効性評価と是正

(資料出所:中小企業庁 リスク管理・内部統制に関する研究会「リスク新時代の内部統制」)

要するに、リスクをすべて洗い出して、その影響の度合いやリスク対策の強化など、一連のプロセスを経て初めてリスク管理ができるということだ。中小企業や個人のようにそういった余裕があまりない場合は、せめてどんなリスクがあるのかをきちんと把握しておくことだけはやっておいたほうがいいかもしれない。

実際の危機に直面した場合、こうしたリスクがあることをあらかじめわかっているだけでも対応に余裕ができるはずだ。

リスク管理のノウハウは、少なくとも先進国の企業や政府機関などでは当たり前のことなのだが、日本の場合、危機に立ち向かわない風潮が非常に強く、リスクを声高に言う人間をむしろ批判する風潮が強い。リスクを正確に把握し、認識するところから、初めてリスク管理がスタートすると考えるべきだろう。

新型コロナウイルスのパンデミックの最中で、もう一度リスク管理についてきちんと考える必要があるということだ。

そこで、いま目の前にあるリスクだが、リスク管理の基本である「発見と特定」をしておきたい。緊急事態宣言が出たいま、現段階でどんなリスクがあるかを洗い出し、そのうえでさまざまな対応を考える必要がある。新型コロナによるパンデミックは、リスクの質や規模、量に関してこれまでのリスクとは大きく異なるからだ。

パンデミックの時代には、パンデミック特有のリスクがある。例えば、世界中が同時に感染爆発の危機に直面している影響は、グローバル社会という経済成長の原動力を脅かしている。ロックダウン(日本では緊急事態宣言)による景気の落ち込みは、経済に深刻な影響をもたらすはずだが、実際には政府や中央銀行が国民生活を支え、株式市場に空前の暴騰相場をもたらしている。

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