第3波で慌てた組織はリスク管理ができてない 対処は重要だが予防こそ軽視してはならない

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言い換えれば、将来の見通しをきちんと立てられれば、パンデミックにも対応できることになる。新型コロナによるパンデミックは、ワクチン接種が始まっても、すぐに収束するわけではない。変異種による感染拡大も急速に進みつつある。

将来的には、新型コロナウイルスだけではなく、さらなる未知のウイルスが人類を襲う可能性もある。そこで重要なことは、正確な情報収集と未来予測だ。例えば、次のような項目が考えられる。

正確な情報収集に努め、未来を予測せよ

<「FACT(事実)」だけを徹底的に情報収集すること>

いまだに、今回の新型コロナウイルス=COVID-19を「単なる風邪」と主張する人が少なくないが、そう主張してきた人の大半は、ポピュリズム政治の犠牲者と言っていいかもしれない。パンデミックリスクに対応する基本は、正確に病気のことを知って、情報を徹底的に集めること。正しい情報に基づいて、対応策を考えることだ。

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<専門家のアドバイスを受けること>

リスク管理や医療など、その分野の専門家のアドバイスを受けながら、未来の見通しを立てることが大切。経営的に厳しい状況を正確に判断するには、楽観的な希望的観測ではなく、専門家の意見をきちんと聞いて対応策を考えるべきだ。

<出口戦略を立てたうえで行動に移すこと>

緊急事態宣言などによって、莫大に借り入れをしなければならない。あるいは社内のデジタル化、DX化を推進するために、莫大な資本投下に迫られる、といった経営戦略上の方向転換を余儀なくされるときは、きちんとその成果を見極めて、失敗したときの出口戦略から、成功したときの成果まで、正確にシミュレーションしてみることが重要だ。

<状況に応じて複数の対応策を用意すること> 

パンデミックは、今後一過性のモノにはならない、という見方をする専門家が多い。COVID-19が収束しても、また新しいパンデミックが発生する可能性も否定できない。リスクを整理したうえで、状況に応じた方法を複数用意して備えることが大切だ。

現在、パンデミックの影響で世界経済は疲弊を余儀なくされている。ワクチン接種のスピードが勝つのか、それともウイルス蔓延による経済の落ち込みが早いのか。人類全体の大きな危機と言ってよい。リスク管理、危機管理をきちんとしていかなければ、生き残れない時代になっていることを忘れないことだ。

岩崎 博充 経済ジャーナリスト

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いわさき ひろみつ / Hiromitsu Iwasaki

雑誌編集者等を経て1982年に独立し、経済、金融などのジャンルに特化したフリーのライター集団「ライトルーム」を設立。雑誌、新聞、単行本などで執筆活動を行うほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)など著書多数。
 

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