地上波は対応予定なし、4K放送普及の難題 推進する総務省と放送局の間には温度差

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ただ、フォーラムへの参加企業の足並みがそろっているとは言いがたい。発足当初は、「家電メーカーの救済策にすぎない」とする向きが強く、家電メーカーでさえ、「積極的な企業とそうでないところとで温度差があった」(放送関係者)。試験放送が始まったことで、各社の共通認識として「やらなければならないという流れはできている」(石丸氏)ものの、本腰を入れるほど、事業化の可能性を高く見積もってはいないというのが、参加企業の本音だ。

最大の理由は、地上波での4K放送がロードマップ上にないこと。映像の転送経路として想定するのは、スカパーが運営する東経124/128度、東経110度の衛星を使ったCS放送に加え、BS放送やケーブルテレビ、IPTVだ。4Kの映像はデータ量が大きく、今の地上波では、電波の帯域が足りない。

増える番組制作費

4Kカメラなど撮影機材の価格が下がってきたため、放送局は番組制作を始めている。が、それはあくまでも採算を度外視した先行投資。データ量が大きい4K番組の編集では、処理時間が長くなり作業にかかる人件費が増え、番組制作費が増加する。

もし地上波で放送が可能になっても、高画質化によって広告収入が増えることはない。放送局は地デジ移行の際にそれを経験しているため、及び腰になっている。積極的なのは、制作費に豊富な資金を投じられるNHKだけだ。

では、頼みの綱になっているスカパーはどうなのか。今のところは、次世代放送推進フォーラムに衛星などのインフラを貸しているだけで、自らは参入を表明していない。

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