「分党」が相次ぐ野党、その理由はカネの配分 次は、みんなの党が草刈り場に

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一方で、みんなの党に支給される政党交付金は20億1337万円。議員1人当たり9150万円に上る。このため、次はみんなの党が草刈り場になるとみられる。

実際にその兆候はある。渡辺氏に代わって代表に就任した浅尾慶一郎氏には発信力がなく、党内には不満が鬱積しているというのだ。同党関係者はこう述べる。「党内は三つに割れている。石原氏に共鳴する者、結いの党に参加しそこなった者、そして渡辺氏の子飼いだ」。

すでに触手も伸びているようだ。維新の国会対策委員長の小沢鋭仁氏は5月31日のツイッターにこう書き込んだ。「結いとの合流は、スムーズに進むだろう。あとは、みんなの党の中島さんたちがどう動くか、だ。そこも一緒になれば一大勢力になる」。

「中島さん」とは、衆議院議員の中島克仁氏のことで、小沢氏と同じ山梨県出身。みんなの党の議員が集団で分党して合流してくれれば、これほどおいしい話はない。

民主党が割れない理由

これに対し、野党第一党の民主党の動きは異なる。5月31日に開かれた江田憲司氏の会合で、細野豪志氏は維新や結いの党と統一会派を組む可能性に言及した。さらに前原誠司氏は6月7日に橋下氏との将来の合流可能性について「100%」と答えた。

しかし、彼らは「離党」も「分党」も口にしない。その理由にもカネがある。昨年11月29日に公表された民主党の収支報告書によると、繰越金額は218億6922万円にも上る。これがやすやすと分与されるはずがない。あの小沢一郎氏が12年7月に51名を引き連れ民主党を離脱したときですら認められず、前原氏も細野氏も、そこから多くを学んでいる。だから民主党を丸ごと動かさなくてはならない。代表を替えようとするのはそのためだ。

政策や理念だけで政治家は動かない。「カネ」もまた政治を動かす重要な要素なのである。

週刊東洋経済2014年6月21号〈6月16日発売〉掲載の「核心リポート04」を転載)

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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