ここで言えることは、住宅市場の場合、マンションでも戸建でも一定の需要が常にあるので、供給不足になると価格は上がる方向に動くということだ。都市の住宅市場において、需給バランスの影響は上がる方向にしか動かない、これが実態である。このため、不動産価格は下がることはなく、上がることしかないのである。
下がる時は不動産事業者が倒産して資産処分するしかない場合に限られる。それは金融が引き締められた時で、それは当分の間無さそうな状況にある。金融緩和されているうちは持ち家を早く買った者勝ちなのだと言うことは分かっておいた方がいい。
コロナで住宅価格暴落の諸説は本当か?
ここからは、ちまたで言われているもっともらしい不動産価格暴落説に反論しておこう。
コロナで住宅購入需要は減退し、価格が暴落するという話がある。これは需給バランスというもっともらしい論旨展開だが、先ほど来の話のように、一定量の取引がある都市部では需給バランスで価格は下には動きにくい。
地方では取引量が非常に少ないので、需要が非常に少ない中で、供給が増えると下がることはある。地方の土地は価格すらつかないものも増えている。しかし、これは地方の話でしかない。何と言っても、都市部ではいまだに人は増えており、地方では大幅に減っているのだから。
残業やボーナスのカットで2020年の年収が減った人がいる。2020年の源泉徴収票の年収が下がると、購入できる価格が下がり、買えない人が多くなる。確かに需要は減退することになろう。それでも供給が少ない状態がマンションも戸建も続くので、価格が下がるような事態にはなりそうにない。
職を失うなりして住宅ローンの延滞が始まり、引っ越しせざるを得なくなった悲惨な事例がニュースで取り沙汰される。こうしたニュースの人が支払っている住宅ローンの月返済額は総じて少ない。これは家の問題ではなく、稼ぐ能力の問題である。
実際、2020年度の経済成長率は5%以上のマイナスになりそうだが、失業率はわずか0.4%しか上がっておらず、まだ2020年11月時点で2.9%である。リーマンショック後の5.5%の失業率とは比較にならない程、家計への影響は軽微であり、緊急経済対策の効果は抜群にあったと言わざるを得ない。
この結果、2021年の持ち家価格は上昇に向かう可能性が高い。その傾向は少なくとも2023年までは続く。そんな中にあって、持ち家購入を遅らせた分だけ、損が拡大していくことになる。これに加えて、住宅ローン減税の対象が50㎡以上から40㎡以上に緩和された。独身や夫婦のみの世帯にとっても、2021年は持ち家購入を早くした方がいい。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら