手数料で稼がない、異端のチケットサービス 街の「提灯2.0」広告を志向するPeatix

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立ち上げ時はイベント主催者向けのイベントをPeatix主催で開催するなど、イベント主催者向けのコミュニティ作りをリアルの場で行ってきた。そのコミュニティを起点にPeatixのファンやユーザーが増え、自然増殖的にユーザーが増えていった。

ちなみに筆者も2年前にPeatixを活用して100人規模のイベントを主催したことがあるが、イベント管理や集金や集客が楽になり、満足度が高かった。現在は集客状況のアクセス解析などもあり、さらに集客周りの利便性が増した印象を受けた。

手数料収益は捨てる。イベント協賛広告に活路

販売手数料を1注文当たり2.9%+70円に下げたPeatix。ロングテールを狙うことからも、販売総額を相当スケールさせないと収益インパクトはない。仮に現状の15億円の販売総額でも手数料は5000万円程度にしかならない。

「ここまで値下げした時点で、販売手数料を収益源にすることはあきらめました(笑)。当初の手数料は1注文当たり6%+70円でしたが、私自身もユーザーとしてPeatixを使うと、単価3000円程度のイベントで200~300円の手数料を取られるのは痛いなと感じました。ロングテールで低単価のチケットを売っていく際に、手数料の高さが利用ハードルを上げているのではないかと感じ、手数料を下げました」

手数料収益は捨てる。それでは何で儲けるのか。2014年3月よりPeatixイベントアドという広告商品の販売を始めた。

「PeatixイベントアドはPeatix上にあるイベントにスポンサーをつける商品です。広告主はエリアやジャンル、規模でイベントを検索し、広告を出すことができます。大規模イベントでは協賛があることは多いですが、小規模イベントに協賛がつくということはほとんどありませんでした。実際に利用したイベント主催者に聞くと、まさか小規模イベントに協賛がつくとは思っていなかったようで、たいへん喜ばれました」

イベント主催者にとっては、Googleアドワーズやアドセンスのようなロングテールでの収益機会になる。たとえば、代官山での10人程度のイベントに、代官山の自転車屋などの協賛がついた。

協賛単価は5000円から1万円程度とみられ、その収益の半分をPeatixが取る。お花見などのイベント時に地域では提灯などの広告を出すことにたとえて、Peatixイベントアドは「提灯2.0」と社内で呼ぶこともあるという。

イベント主催者はチケット手数料を支払っても、Peatix側で提案されたスポンサーを受け入れればむしろ利益が出る。このPeatixイベントアドにより、スポンサーがついたイベントを主催した経験のあるユーザーは、リピート率が上がるのではないだろうか。ほかのサービスに目移りしにくい競争優位性を築けているといえる。

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