手数料で稼がない、異端のチケットサービス 街の「提灯2.0」広告を志向するPeatix

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 スタートアップという言葉が日本でも定着し始めてきた。スタートアップのサービスは目新しいサービスに見えても、そのビジネスモデルは何種類かに分類することができる。そのサービスの事業領域の伸びがどれくらい見込めるかという点と合わせて、そのビジネスモデルを本連載で紹介していく。
 チケット・スタートアップ特集第3弾は、イベントに特化したチケット販売サービスPeatixを運営するOrinoco Peatixの岩井直文社長に話を聞いた。

ソーシャルイベント市場のポテンシャル

Peatixは「イベント体験を豊かにするイベント管理サービス」というコンセプトを掲げて、チケット販売サービスを運営している。本特集で紹介したEventResigtはイベント運営、tixeeはチケットにフォーカスしているのに対し、Peatixはイベント自体の価値を高めるという切り口となっている。その狙いを、同社の岩井直文社長はこう語る。

「われわれは『ソーシャル・イベント市場』と呼んでいますが、図の右上の伝統的なチケット業界以外の市場を取りたい。特に規模の小さいイベントはチケット販売すること自体ありませんでした。Peatixを自分で簡単に使えるサービスにして、チケットが存在しなかった市場にチケット販売の文化を作りたい」

Peatixでは幅広いカテゴリーのイベントチケットが販売されている。セミナーやトークショー、ワークショップから音楽ライブを中心に、ワインパーティまである。2014年5月現在の累計チケット販売枚数は約50万枚。開催イベント数は2万件。チケット販売総額は約15億円となっている。チケット販売枚数は昨年対比で350%の伸びとなっているようだ。

同社は2013年2月に販売手数料を1注文当たり2.9%+70円文に値下げ。プレイガイドなどでは8%から10%が標準なので、かなりの低価格と言える。この低価格をフックに開催イベント数が急激に伸び始めたいう。

「Peatixを利用したイベントの主催者に聞いてみると、メディアなど広義の口コミ、友人の口コミ、Peatixで開催されたイベントに参加した方が3分の1ずつくらい。広告出稿でユーザー数を伸ばす取り組みは、現状、やっていません」

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