「親が試合の応援に来る子」は活躍できない真因 海外サッカーを熟知する指導者が語る育成法

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いろいろな人を見てきましたが、親が子どもにかまっているケースほど、子どものメンタルが弱くなり、試合でも力を発揮できない傾向が強いように感じます。

小学生の大会で親が応援に来る子と、親が応援に来ない子がいるとします。このとき、親が応援に来る子どものほうが力を発揮することができません。みんなガチガチになってしまうのです。

いざ活躍する子どもというのは親が応援に来ていない子どもが多いです。解き放たれたように活躍をします。

親が応援に来ている子どもは縮こまってしまって活躍できないのです。例えば、雨が降ったときに親がタオルを持って来るようなことがあります。そういう細部が、子どもの心が強くなるかどうかに関係します。

親子の距離が近すぎると子のメンタルは弱くなる

親が子どもを放っておけば放っておくほど、子どものメンタルは強くなる。これは僕が思う最終結論です。あるいは、親が子どもと距離を置くほど子どもは伸びる傾向にあります。それは子どもの年齢が早ければ早いほど良いです。

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親子の距離が近すぎるほど、子どものメンタルは弱くなります。親が子どもを構ってしまうと、一方の子どもは親を頼ってしまいます。

将来、いざというときに力を発揮できる選手に育てたいのであれば、親は子どもからある程度の距離をおいて見守るべきです。そのうえで、大人から指示を出すのではなくて、子どもの自主性に任せるのが大事なのです。

メッシもそうでしたが、やはり孤独という環境が人を成長させます。何を考えているのかわからない子どもは、とにかくメンタルが強い。本当に「この子は何を考えているんだろう?」という子ほど試合で活躍するものです。

親が子どもにできることは世界サッカーのスピードを幼いうちから体感させること。そこから先は子どもが自ら「育ち」、世界への道をつかみ取っていくのです。

稲若 健志 ワカタケ代表

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わかたけ たけし / Takeshi Inawaka

1979年生まれ。株式会社ワカタケ代表。元アルゼンチンリーグのプロ選手でもある。ミチェル・サルガドやダビド・トレゼゲ、ロベルト・カルロスやルイス・フィーゴらと共に『レジェンドクリニック』を開催する。年間5000人以上の子どもたちを指導し、レアル・マドリードやリーガ・エスパニョーラ各クラブに深いパイプを持つ。

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