「親が試合の応援に来る子」は活躍できない真因

海外サッカーを熟知する指導者が語る育成法

これはレアル・マドリードに限らず、Jリーガーが海外のチームに移籍して最初に苦しむことの一つとして、このプレーリズムがあると思います。このリズムというのは、「準備力の差」でもあると思います。どんな練習でもレアル・マドリードの子どもたちは常にステップを踏んでいます。

一方、日本の子どもたちは自分のところにボールが来なければ、両足が地についていて、常に準備ができているわけではありません。これは普段からの練習の意識の違いもあるでしょう。自分の元にいつボールが来てもいいように準備しているかどうか、その普段の意識の差だと思います。

久保建英選手の場合、バルセロナに5年もいたのでスペインのリズムが身体に染み込んでいます。この点について他の日本人が身につけるには、やはりスペインの環境に慣れないと難しいと思います。

中井卓大選手の場合も、ボールをもらう動作が非常に速く、一瞬にしてサポートに入れるとか、要するに頭のスイッチが違う。それがレアル・マドリードのリズムなのです。無駄がないし、考えているし、ゴールの奪い方をよくわかっている。こういうふうに行けばゴールに行けるのでは、といったゴールまでの道筋を見つけるのが速いのです。

国によってサッカーのリズムが違います。そう考えると、日本のサッカーは少し頭で考えるリズムが遅いと思います。走るのは速いし、運動量も豊富です。しかし、判断する頭のスピードは遅く、ボールを回すスピードも遅いように思います。その部分で慣れてくれば、もっとヨーロッパで活躍する選手が出てきてもおかしくないと思います。

「育て方」と「育ち方」の違い

海外に留学し、言葉のわからない国に行けば、今までの当たり前が当たり前ではなくなります。壁にぶつかり、もがく中で、子どもは環境に順応しながら解決策を見つけて成長していきます。

どちらが良いのかという比較はできませんが、「育てる」と「育つ」という両者にはやはり大きな差があります。「育て方」というのは、親が自分の近くで育てること。「育ち方」というのは、いろいろな人に出会い、子どもたちが周りの環境に育てられてどんどん成長していくこと。

僕もアルゼンチンという国に行かなければ、ここまで強くはならなかったという確信があります。親元を離れると、あとは自分でやるしかないので自然と育っていきます。親の頭の中で「こういうふうに育てよう」という考え方は、親が事前に準備したレールに乗せているだけです。

一方、「育ち方」の場合は、レールそのものを自分で敷いて進まなければなりません。親のメンタルが弱ければ、子どももメンタルは弱いというのが通例です。

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