パナソニック「配送ロボット」は実用化できるか 神奈川県藤沢市で実験、21年度の収益化目指す

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ビジネスとして実用化するには障壁もある。現在、自動配送ロボットの走行やサービスについて明確に規定した法制度があるわけではない。今回の実証実験も公道での走行にあたり、国土交通省による道路運送車両の保安基準の緩和措置を受けて、藤沢警察署から道路使用許可を取得している。また自動配送ロボット自体も法律的には原動機付自転車の扱いとなっている。

政府の成長戦略会議は2020年12月に新しい成長戦略案を示し、「2021年度のできるだけ早期に、(自動配送ロボットを用いたサービスが可能となるよう)関連法案の提出を行う」と明記した。法改正に向け、同社も積極的に関係省庁との意見交換を行っているが、「制度の整備時期や作られる制度の内容が現場の実態に即したものになるかは不安」(パナソニック幹部)との声もある。

配送データを都市開発に活用

自動配送ロボット分野では2020年10月に日本郵便が公道上での荷物運搬実験を実施したほか、ソフトバンクグループが佐川急便やコンビニ大手のセブンーイレブン・ジャパンと組んで屋内外での配送実験を行った。

自動配送ロボットの側面には、荷物を入れるボックスが付いている(記者撮影)

有償サービスも、自動配送サービスの利用者と店舗のどちらが利用料を支払うのか。契約形態などのビジネスモデルも定まっていない。村瀬氏は「ものを運ぶだけでビジネスが成立するとは想定しにくく、蓄積したデータの活用などいろいろなケースを考えていく」と話す。

具体的には、自動配送ロボットをデータマイニングツールとして利用し、集めたデータを活用してマネタイズすることや、自動配送ロボットで集まるデータを都市開発などに生かしていくことなどを想定している。

自動運転技術は配送サービスだけでなく、街中でのライドシェアサービスにも活用されうる。村瀬氏は「住宅街、観光地、遊園地などエリアによってマネタイズ方法も変わってくる」としている。

各社が参入して競争が激化するなか自動走行技術や収益化の方法などで他社よりも優位に立てるか、パナソニックの強さが問われている。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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