意外と知らない?「国対委員長」の仕事の中身 立憲民主・辻元清美氏が語る国会での舞台裏

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激突法案やスキャンダルで国会が揉めるとき、ニュースで「たった今、与野党国対委員長会談が終わりました」という報道をご覧になったことはないでしょうか。薄暗い国会の廊下を、大勢の記者を引き連れた「国対委員長」がフラッシュの中で「大筋合意した、ということです」と重々しくつぶやくアレです。

また、政治家がひそひそと「あれは『国対』の判断だからさ(勘弁してよ)」と漏らすときには、当事者が死ぬまで明らかにされない権力行使の闇がある……。そんな雰囲気が醸し出されます。

そんな国会対策委員会、通称「コクタイ(国対)」が、結局のところ日々何をやっているのか、ピンとこない人は多いのではないでしょうか。「55年体制における談合政治の温床」などと、ダーティなイメージを持っている方もいるでしょう。

本来、国会運営は衆参両院の議院運営委員会(議運)の責務です。しかし、各党がいきなり議運に臨むと、各党の意見や思惑がぶつかり合って収拾がつかなくなります。そこで、国会運営の方向をあらかじめ協議するインフォーマルな組織として、各党に国対が設置されているのです。

国対委員長が初めて出てきたのは1948年

少し歴史的な話をします。国立国会図書館の調べによれば、日本の議会史上、初めて「国会対策委員長」なる役職が登場したのは、1948年の第2回国会会期中とされています。

当時の政権は社会党首班の片山哲内閣で、社会党中央執行委員会に国会対策委員会が創設され、正木清議員が国対委員長に就任しています。1月28日の「読売新聞」に報じられています。

保守政党である自由党系の政党に、国会対策委員会と考えられる組織が登場するのは、1948年10月ごろ(民主自由党)とされています。ただし、設置に反対も多く、当初は党則に明記されない事実上の存在であったようです。

もう一方の保守政党である改進党系の政党では、民主党が連立派と野党派に分裂したあと、それぞれに国会対策委員会が置かれたようです。民主党野党派の後継政党である国民民主党及び改進党は、国会対策委員会を党則に明記しました。とにかく、歴史は古いのです。

では、国対委員長はどんな役割を果たすのか。その業務と資格について、2007年10月23日の「日経新聞」に次のように解説されています。

●業務―国会運営が円滑に運ぶように、法案を提出してから成立させるまでの議事日程などを決める。
 ●資格―特になし。政界の駆け引き、交渉術にたけたベテラン議員が就くことが多い。

「幹事長」は党全体の責任者、政策は「政務調査会長」、国会運営は「国対委員長」が責任を持つというのがスタンダードな政党の役割分担です。

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