「緊急事態宣言」再発出が効果的でない根本原因 欧米の法制度にあって日本にはないもの

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また特措法は、あくまで特定の個別具体的な事態に対応する法律であるため、新しい別の事態が発生しても適用することができず、また別の特措法を作る必要が生じることになる。中には、ある時期がきたら失効する時限立法もあるのだから、なおのことである。

日本を取り巻く安全保障環境の変化や、気候変動とともに激甚化する災害を考えれば、危機が起きてから泥縄式に個別具体的な特措法を作るだけでは間に合わない。可能な限りの事態想定を行い、理性的かつ合理的に議論したうえで、あらゆる危機に対応した基本法を作る必要がある。

そのためには、あらゆる緊急事態を統合した「緊急事態対処基本法」を制定し、この基本法と個別具体的なそれぞれの事態に対応した法律とが連関して作動するよう作り込むことが必要であろう。

災害、防衛、治安に分けて基本法を制定する手段も

一足飛びにすべての緊急事態を統合した基本法の整備を行うことが難しいのであれば、緊急事態を、地震や台風などの「災害緊急事態」、戦争や紛争といった「防衛緊急事態」、テロや内乱のような「治安緊急事態」と分けたうえで、それぞれの基本法を制定することから始めるべきである。

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このうち自然災害については災害対策基本法があるからひとまず置いておくとしても、新型コロナウイルスのように我々の生活を一変させてしまうほどの脅威である感染症に対しては、われわれがいかなる理念に基づいて対策を講じるかについての基本理念を示す必要がある。

そのため、感染症法、検疫法、新型インフルエンザ特措法といった法律を統合した「感染症対策基本法」を制定することが必要である。

それでは、なぜ日本においてこれらの緊急事態対処の基本法を定めることができないのだろうか。後編(1月7日公開予定)では、その根源である憲法まで深掘りして考えてみたい。

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