新型コロナウイルスに振り回された2020年も、終わりを迎えようとしている。2020年は株式市場が急落した3月末以降、いかにアメリカ株の反転に乗れたかが、投資パフォーマンスを決定した。
アメリカの株高の牽引役は、コロナ後に同国で発動した大規模な金融財政政策であり、それらがしっかり機能したことである。繰り出された政策対応をリアルタイムに正確に評価して、コロナ禍のなかで同国経済が早期に回復する展開を想定できれば、投資リターンを高められただろう。
アメリカの株価が日本よりも上昇した理由は
だが株式市場のパフォーマンスは地域によって異なる。年初来のリターン(12月18日時点)は、アメリカ株(S&P500)14.8%、日本株(TOPIX=東証株価指数)4.2%である。
「日米相対株価指数」は2018年初から低下が続いており、結局3年連続で日本株がアメリカ株を明確にアンダーパフォーム(割り負け)して終わりそうだ。
両国の株価の格差をもたらした最大の要因は、経済政策運営の違いにあると筆者は認識している。世界に猛威をふるったコロナは、日本とはケタ違いの甚大な健康被害を米欧などにもたらした。アメリカのトランプ政権による公衆衛生政策が徹底されなかったことも、同国の被害を拡大させただろう。
ただ、株式市場にとっては、コロナの被害そのものではなく、コロナ禍への対応によって経済成長率や企業業績が回復するかどうかがより重要である。そして、コロナへの対応として行われた経済封鎖後に、繰り出された両国の財政金融政策にはかなり差があった。
アメリカでは、ジェローム・パウエル議長が率いるFRB(連邦準備制度理事会)が即座に金融緩和に転じて、大規模な流動性供給を行った。さらに財務省と一体となって財政政策の領域に積極的に踏み出し、企業の資金調達経路を確保するために社債市場を買い支える大規模な資金供給拡大を行った。
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