――新型コロナの第3波が流行しています。エピカーブからいつ頃収まるか、予想できますか。
まだ、このウイルス、病気が見つかって1年経っていないのでよくわからないところも多々ある。新型インフルエンザなどは流行を何回か繰り返すうちに、新型ではなく普通のインフルエンザに成り下がっていき、人のほうも慣れていく。新型コロナはまずは少なくとも一巡、一定時間をすぎないと流行パターン、つまり自然の流れが見えてこない。ただ、今年3~4月の流行、7~8月とこの冬では、同じではなく、感染防止や治療など対処の方法も進んできた。
「指定感染症」の指定は延長も、運用見直し
――医療逼迫の危機が叫ばれていますが、対処法は?
比較的症状の軽い若い患者さんが重症の方と同じ医療機関に入院するのでは、ご本人の負担も医療側の負担も大きい。経過が見られる場合は、自宅療養、あるいは医療機関と自宅との中間的な宿泊所などでの療養をうまく使い分けるべきだと思う。病の重い軽い、症状の有無にかかわらずすべて入院させれば、限りある病床や医師・看護師などの医療体制、それを調整する保健所に大きな負荷が生じる。
制度的にはそのような違いを可能としているが、運用が地域によって異なり、心配だからすべて入院させているというところもある。また、65歳以上は入院してもらうことになっているが、元気で悪化するリスクが小さいと判断されれば、宿泊所でもよいと思うし、それも制度的に可能となった。
――全国保健所長会からは指定感染症であることで、入院が増えてしまう問題があるとの指摘があり、指定感染症を外す展望を示してほしいという声があります。
指定を外して現状の2類相当をインフルエンザ並みの5類にしたほうがよいという主張はあり、そのメリットもあると思う。しかし、そうすると、一方で入院費・治療費は保健医療となり自己負担が大きくなる。また、いろいろな救済・交付金なども指定感染症だからこそ出せているところもある。指定を外せば、療養のためのホテル宿泊などの費用も公費負担ではなくなるだろう。また、インフルエンザは全国で5000か所の定点医療機関から届けられる届出制度になっているが、そのようにすると、まだ不明な部分の多いこの病気の疫学的データが集まらなくなるという問題もある。
指定感染症の指定は厚生科学審議会感染症部会で1年延長することが承認され、現在は政府での最終議論になっている。延長は1年だけだ。ただ、2類相当といいながら、エボラ出血熱並みの1類あるいは新型インフルエンザの大流行時と同じ扱いをしているところもあり、そこは運用の見直しを提言している。
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