「ゆでガエル」状態になりつつある日本  人口動態はウソをつかない

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こうした背景には、女性の社会進出が大きく影響しています。ドイツでは、まず職場で自身のキャリアを確立してから出産を考える女性が多いのですが、この点、日本もドイツ型になりつつあるのかもしれません。

問題は、30代での初産には、流産など出産に伴うリスクが高くなることです。しかし、初産を20代で経験しておくなど、すでに出産をしたことがある人は、そうした高齢出産のリスクが軽減されるといわれています。ですから、初産はできるだけ早いほうがいいわけです。

さらに育児の面でも、30代後半になると、肉体的にきついという女性が多いのです。そうなると、第二子をもうけることを躊躇してしまいます。こうした点からも、初産をなるべく早くできるように、国が社会の仕組みを変えながら、女性の出産を支援するようにしたいものです。

このままでは、年間の出生数が100万人割れに

こういうと、「個人の問題に国が関与すべきではない」と考える人もいるでしょう。しかし、日本の人口動態や社会保障制度などを考えると、結局それは、私たち自身の将来の不安を増大させる可能性があります。

 やはり女性には20代半ばぐらいで初産を経験してもらうのが理想です。そのためには、企業も国も、女性が子供を産むことに対して、大歓迎の姿勢をとる必要があります。企業にとっても、高齢者医療への負担増などを考えれば、子供が誕生し、若い世代が増えることはプラスになります。きちんと説明すれば、大多数の国民は納得してくれるでしょう。労働力人口の減少をできるだけ抑えて、社会保障制度を維持するためにも、女性に子供を産んでもらう必要があること、子供の数が増えれば社会は活性化することを説明すべきです。

 しかし日本では、たとえ出生率が現在の1.4から2.0に上がったとしても、人口は増えるどころか、減少し続けていきます。なぜなら、子供を産む女性の絶対数が減っているからです。子供の9割以上は20代と30代の母親から生まれていますが、その年齢層の女性が激減しているのです。

2012年以降、日本では出生率が16年ぶりに1.4台に乗りました。しかし、2012年の出生数は103万7100人、昨年は102万9800人と、相も変わらず減り続けています。このままでは5年以内に100万人の大台を間違いなく割り込んでしまうでしょう。

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