小学生が「死にたい」ミニバス指導の壮絶な実態 あれから息子は学校にも行けなくなった
件数だけを見れば、多くの方は「6年間でたったそれだけか」と思うかもしれない。だが、これは氷山の一角だろう。各競技団体に寄せられる相談件数との総計や中身の分析がなされないため、実情は「見える化」されないままだ。これでは、男性とその長男のように声を発することさえできず泣き寝入りする親子は決して少なくないはずだ。
日本スポーツ協会および各競技団体が相談窓口を設置したのは2014年。ちょうど8年前の12年12月23日。大阪市立桜宮高校バスケットボール部員だった高校2年生の男子が、顧問からの暴力や理不尽な扱いを苦に自死した事件がきっかけだ。
事件の当該競技であるバスケットはその後も、暴力は止まっていない。2014年4月~2018年10月の高体連体罰認定件数149件中、バスケットにおける報告は27件で18%。同期間の日本スポーツ協会相談件数は315件中60件、19%と、いずれも全競技中で最多だった。
この結果を受け止めた日本バスケットボール協会(JBA)は2019年に、「クリーンバスケット・クリーン・ザ・ゲーム~暴力暴言根絶」のメッセージを発信した。そこでまずはミニ・中・高校生の都道府県大会や全国大会におけるコーチの選手への暴力的行為や暴言に対するテクニカルファウル調査を実施。
結果として、例えば高校生の場合のテクニカルファウルは都道府県大会では1%、インターハイは5%と全国大会で5倍に。ただし、調査が抑止力になったのか、冬開催の全国大会「ウインターカップ」では0件だった。
さらに2021年は、指導現場の実態を把握するため、まずは「ミニバスケットボールを行っている子どもの保護者を対象としたアンケート」を実施する。
質問は40個余りを用意。練習時間や頻度といった活動の強度はもちろんのこと、練習や試合におけるコーチングについても尋ねる。例えば、以下のようなものが並ぶ。
回答は、例えば「思う・やや思う・あまり思わない・思わない」の4段階から選ぶ簡単なものだ。部やクラブを通さない。つまりは指導者を介さないため、回答者が特定されずプライバシーを厳守できる。JBA公式サイトや都道府県協会公式サイト、バスケット専門メディア等で告知し、2021年度内で3カ月間の実施を予定。
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