小学生が「死にたい」ミニバス指導の壮絶な実態 あれから息子は学校にも行けなくなった
アンケートの作成、実施をリードするJBA U12フェアプレー推進グループリーダーの村上佳司・桃山学院教育大学教授は2018年、2019年と国際バスケットボール連盟(FIBA)のミニバスケットボールカンファレンスに参加。コーチが選手と相互にコミュニケーションを図り、主体性を育てる世界基準のコーチングを見てきた。
「日本の育成年代、特に初期のカテゴリーにあたるU12(ミニバスケットボール)の指導のあり方は、世界基準と比べるとまだまだ遅れていると感じた」
日本のコーチングは指示命令が多く、一方通行のコミュニケーションになりがちだ。怒って選手を委縮させ、考える余裕を与えない傾向がある。そうなると「選手は主体性を奪われ、コーチの指示を待つようになる」と村上教授は言う。
「コート内で選手が自分で判断してプレーしなくてはいけないバスケットボールでは、自ら考える力を育てるべき。そのためには、指導者が言動や態度を変えなくてはいけません」
言動や態度を保護者たちの目を通して吸い上げるとともに、アンケートに答え結果を知ることで「グッドコーチ」の姿を知ってもらう。保護者の啓蒙も、ひとつの目的なのだ。
今も心療内科に通う長男
被害を被ったA君は、中学生になった今も心療内科への通院は欠かせない。
「(バスケットを)放り出してしまったと、今でも自分を責めています」
男性や妻が「君は悪くない」と言い続けてもトラウマは消えない。
男性は「指導者が変わってくれたらと思う。息子のような経験をしてほしくない。急いでほしい」とJBAの取り組みに期待を寄せる。
長男が所属したチームの親からは「相変わらず(暴力やパワハラを)やってるよ」と聞いている。
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