ネズミの笑い声は「高音すぎて」人に聞こえない ネズミだって「嫉妬心」を感じる生き物だ
私はペットとして可愛いドブネズミを飼っているのだが、大学で行う実験のための笑い声は、私のドブネズミによって採取された。最初は自分でも半信半疑だったのだが、ドブネズミを抱き上げて撫で回すと、測定機器に50000Hzの波形が絶え間なく映し出された。
科学技術のおかげで、私は自分のドブネズミたちをよりいっそう、いとおしく思うことができたのである。ちなみに、ネズミが不快なときに出す声は20000Hzだといわれている。
笑い声を直に聞くことは難しいが、耳のいい若者であれば、ネズミのうんざりした声を聞くことができるかもしれない。
動物の笑いの研究はまだまだわからないことが多い。
聞こえないネズミの笑い声が存在したように、世界にはまだ目に見えない不思議なものがあふれていて、これから先、私たちが生きている間にもそれらが可視化される日が突然来るかもしれない。
そしてその不思議なものは、またネズミから解明されるかもしれない。
ネズミにだってねたみそねみの感情がある
「ねたみそねみの感情」「ねたみっぽい人」「嫉妬深い」
どれもあまりいい意味ではない印象を受ける言葉だ。よくない感情だと思いつつも、知らず知らずに胸のうちに芽生え、そんな感情を抱いてしまう自分に対して、自己嫌悪に陥っている人もいるかもしれない。
だが、そんなに自分を責める必要はないのである。ましてや、自分だけが恥ずべき感情を抱いているなんて思う必要はまったくない。
そんな感情とは無縁に見える尻尾の長いお友だちも、私たちと同じような感情を抱いていることがわかったのだ。
他者の幸福や不幸は、自分の生活には何一つ関係がないはずなのに、私たちはつらそうな人を見ればつらい気持ちになるし、幸福そうな人を見て自分も幸福になることがある。
これは〝共感〟という能力だ。
そして、共感に近いけれども、性質としては真逆の〝逆共感〟というものがある。悲しいかな、自分の幸福が損なわれるわけではないのに、他者の幸福を見て自分のことを不幸と感じてしまうことがあるのだ。これがねたみの感情である。
これは慶應義塾大学の渡辺茂名誉教授が発表した研究によって私たちの知るところとなった。
マウスを拘束してストレスをかけるとき、1匹だけで拘束されているよりも、5匹でストレスを受けているときのほうが、ストレスは軽減される。同じストレスを受けているはずなのに、ストレスホルモンの分泌が少なくなっているのである。
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