ワークマンが「データ経営」に取り組んだ必然 きっかけは創業者に頼まれた1つのことだった
創業者から受け継いだ「しない経営」
――ベイシアグループ創業者の土屋嘉雄さんは哲雄さんの叔父に当たります。哲雄さんから見た「嘉雄イズム」とは?
めちゃくちゃ慎重。
良い意味でのコンサバティズムがある。わき目をふらず、「あれしろ」「これしろ」と言わない。
私が嘉雄さんから受け継いだのは、「(余計なことを)しない経営」と在庫に対する警戒心。ベイシアグループの社員は、どの会社でも在庫に対する“恐怖心”が浸透している。在庫をきちんとコントロールして、オペレーションを重視して、ローコスト経営を徹底する。
――創業者に話を聞くと、土屋哲雄専務について「三井物産という世界企業で培われた視野は貴重。若い人たちに大きなインパクトとなり、目標になる人材だ」と答えました。
私がワークマンに入ったとき、嘉雄さんは「ワークマンは良い会社だから特に何もしなくていいよ」と言ったんです。でも、それに加えて「人材だけは育ててください」と。だからワークマンで「データ経営」を始めた。
データを通じて人を育てて、トップダウンではなく、現場の知恵を集めるボトムアップの経営にしようと。(社員全員がデータを使いこなせれば)上にも反論しやすいし、議論が起こりやすくなる。以前のワークマンは上意下達の会社で、社長と付き合わないと上に行けないという感じだったが、そんなことをやめるために(上司や社長との接点を持つ機会になる)社内行事も一切廃止した。
変化が起きない時代は数年の経営計画を立てられても、今は変化が多いから計画は3年も持たない。コロナだけでなく、最近の激甚災害や異常気象もそう。ワークマンはこの2年で(災害により)4店舗くらい流されて、防寒衣料が稼ぎ頭なのに今は11月でも夏日がある。
そうした「変化」に最初に気付くのは現場にいる人たち。そこから現場がいろいろな対応を工夫して、結果を報告してくれる。経営陣はその対応手法を標準化するか否かだけ判断すればいい。
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