やる気を削がれる人と奮起する人の決定的な差 脳科学的にはお金や成果が目標だと挫折する

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アメリカ・コロンビア大学のグラント博士らの研究は、このことを明らかにしています。

グラント博士らは、まず92人の協力者に対して、次のように伝えます。

「あなたが大学で、卒業のためにとても重要なクラスを取ったとします。そのクラスでは、宿題のエッセイをみんなの前で大きな声で読み上げなければいけません。一学期中に何度もそのチャレンジがあります。その発表の一場面のことを思い浮かべてください。自分の番が来るまでに、多くの学生は優れたエッセイを発表して、とても良い評価をもらっています。あなたが発表したときに教授も他の学生もあまりいい顔をしませんでした。そしてあなたは、C(失敗)の評価になりました」

それぞれの被験者が、成長に目を向けている「成長ゴール」、結果だけを重視する「成果ゴール」のどちらを自分に活用しているかを調べました。

また、C評価の後の挽回しようという意気込み、そのための計画設計や時間確保の努力との相関関係も調べました。

「成長」を意識することが「やる気」を継続させる

「成長ゴール」に意識を向けている人たちでは、意気込みは強く維持できており、そのための計画を立てる気持ちや時間確保の努力が高まることがわかりました。

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それに対して、「成果ゴール」を使っている人たちでは、モチベーションは下がり、計画設計もしない、時間も確保しない傾向が出ました。

つまり、「成長」を意識することが「やる気」を継続させるということです。

ちなみに、これは「成果」や「目標達成」を軽視するということではありません。うまくいっているときには、「成果ゴール」でも次のモチベーションへと繋がります。

ただ、これらばかりに意識を向けてしまうと、うまくできないときにモチベーションが下がってしまいます。それよりも、自分がコントロールできるところにベストを尽くす。その結果として、「成果」や「目標達成」が現れると捉えることで、前向きな気持ちになりやすいのです。

岩崎 一郎 脳科学者、医学博士

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いわさき いちろう / Ichiro Iwasaki

京都大学卒。京都大学大学院修士課程修了後、米国・ウィスコンシン大学大学院で医学博士号(Ph.D.)取得。旧通産省の主任研究官、米国・ノースウェスタン大学医学部脳神経科学研究所の准教授を歴任。脳科学を活用し、普通の知性の人たちが天才知性を超えるパフォーマンスを発揮できる組織づくりの企業研修を提供する会社「国際コミュニケーション・トレーニング株式会社」を創業。著書に、『科学的に幸せになれる脳磨き』(サンマーク出版)、『何をやっても続かないのは、脳がダメな自分を記憶しているからだ』(クロスメディア・パブリッシング)などがある。

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