あの織田信長も一役「美術品売買」の意外な歴史 「楽市・楽座」が流通市場にもたらしたもの

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山本:アートフェアの歴史に少し触れておきたいと思います。日本で初めて開かれたのは1992年ですが、ヨーロッパでは1960年代からアートフェアが開かれています。

父がパリで開かれる国際アートフェアFIAC(国際現代アートフェア)へ出展したのは1970年代の終わりで、その頃フランスではすでに、世界の画廊が集まって一般の人に美術品を見せて売り買いをしていました。

そこへ東京画廊が日本の現代美術をもっていったけれど、日本の現代アートのコンテクストがまだフランスに伝わっていなかったから、大赤字で帰ってくる。すでにヨーロッパでは19世紀末のジャポニスムのときにコンテクストが伝わっていた浮世絵をもっていっていれば売れたかもしれません。でも実際は、古美術の浮世絵を出品することはできません。

いまでこそアートフェアは世界の主要都市で開催され、毎月どこかの都市に100軒以上のギャラリーが集まって商いをしています。東京画廊もアート・バーゼル(スイス)以外にも年間4~5回出展し、日本の現代美術を海外に販売しています。

日本の現代美術が世界のマーケットで取引されるようになったことを、亡き父に知らせたいですね。東京画廊も株式会社なので、もちろん売り上げは複式簿記で会計処理をしています(笑)。

海外の若いアーティストなら値段は高くない

田中:私のような一般人がアートフェアに行って絵を買うことはできるんでしょうか? せっかくなので見るだけでなく、若いアーティストの絵画を買ってみたいと思っているのですが。

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山本:たとえばバーゼルのアートフェアでは、最初の2日間はかつて購入されたVIPしか入れないファーストチョイスが開かれます。3日めからは一般の方も入場できますよ。ぜひそこで絵画をたくさん見てください。5000点も見れば1点くらいは気に入った絵にめぐり会えます。

海外の若いアーティストであればそんなに高くありませんよ。そこを絵画購入の入り口にするのはおすすめです。

田中:株でもそうですが、理屈だけじゃなくて実際に株式を買ってみると興味がわいて勉強する気になります。大した金額じゃなくても、身銭を切ると真剣になりますからね。ではいずれ山本さんのカバン持ちでバーゼルについていって、絵画を買うことを目標にします。

山本 豊津 東京画廊社長

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やまもと ほず / Hozu Yamamoto

1948年、東京都生まれ。1971年、武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業。元大蔵大臣村山達雄秘書。2014年より4年連続でアート・バーゼル(香港)、2015年にアート・バーゼル(スイス)へ出展。アートフェア東京のアドバイザー、全銀座会の催事委員を務め、多くのプロジェクトを手がける。著書に『コレクションと資本主義』(共著、角川新書)、『アートは資本主義の行方を予言する』(PHP新書)。

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田中 靖浩 公認会計士

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たなか やすひろ / Yasuhiro Tanaka

1963年、三重県四日市出身。早稲田大学商学部卒業後、外資系コンサルティング会社を経て現職。ビジネススクール、企業研修、講演などで「笑いが起こる会計講座」の講師として活躍する一方、落語家・講談師とのコラボイベントを手がけるなど、幅広くポップに活動中。主な著書に、『名画で学ぶ経済の世界史』(マガジンハウス)、『会計の世界史』(日本経済新聞出版社)など多数。

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