ユーグレナが「青汁」キューサイを買収する訳 「ミドリムシ」との事業シナジーはあるのか

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ユーグレナが当初30億円、13%のマイナー出資で出発する理由は、次世代バイオ燃料の研究開発や広告宣伝費を考えると、手元現預金(2020年9月末62億円)だけでは足りず、買収に投じる資金的な余裕はないからだ。

ユーグレナは、ミドリムシを使った健康食品や化粧品事業に続く収益柱の育成を図っている。ミドリムシを使った次世代バイオ燃料の量産工場を2025年に完成させる計画で、それには100億円超の資金も必要になるだろう。

ただ、キューサイはキャッシュ創出力を測る目安となるEBITDAで毎年40億~50億円を安定的に稼いでいる。このキャッシュがあれば、出資比率を最大49%へ引き上げるのに必要な最大102億円の調達には有利に働く可能性がある。

ファンドと事業会社の珍しい組み合わせ

「入札段階でファンドと事業会社が手を組むのは、国内ではほぼゼロだ」。アドバンテッジが認めるように、投資ファンドのアドバンテッジと事業会社であるユーグレナが買い手として組んだのも珍しい。投資ファンドは投資家から預かった期限付きの資金で会社を買収し、投資回収のために4~5年で株式を売却しなければならない。

それに対し、事業会社であるユーグレナに投資期限はなく、その違いの調整に手間がかかる。それでも両者が手を組んだのは、資金面などで利害が一致したこともあるが、「キューサイをどういう企業に変えたいかという価値観が一致したことが大きい」とアドバンテッジの束原、ユーグレナの永田の両氏は口をそろえる。

具体的には、「アンチエイジング」でなく「ウェルエイジング」というコンセプトを強調し、年齢に合った化粧品や健康食品などを提供して、ユーザーに年齢にふさわしい輝きをもたらす企業を目指すという

ユーグレナが投資ファンドの力を借りてキューサイに再成長をもたらすことができるのか。成功すればユーグレナに飛躍をもたらすが、失敗すれば逆に大きなしっぺがえしを食らうことになる。

大西 富士男 東洋経済 記者

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おおにし ふじお / Fujio Onishi

医薬品業界を担当。自動車メーカーを経て、1990年東洋経済新報社入社。『会社四季報』『週刊東洋経済』編集部、ゼネコン、自動車、保険、繊維、商社、石油エネルギーなどの業界担当を歴任。

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