子にガミガミ言う親は「3つのズレ」を知らない 「子どもが悪い」を変えない限り出口はない

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このような衝突も、後になって振り返れば、「あのときが懐かしいよね」とよき思い出になることもあり、すべてが悪いものとは言い切れません。しかし、少なくとも子どもが自立するまでの20年ほど、衝突続きの親子関係となる可能性もあり、それはお互いの精神衛生上よろしくはないでしょう。

そこで、今回は、その根本原因を知ることで、よりよい親子関係の中で子どもが育っていく方法を考えてみましょう。

「親子の価値観の不一致」3つのケース

親子で衝突が起こる場合、子どもがダメな子だから起こるのでしょうか。それとも、親が間違ったことをやってしまったからなのでしょうか。

筆者は、いずれも否と考えています。子どもは間違っていないし、親も間違っていないと考えています。ではなぜ、頻繁に衝突が起こるのでしょうか。

それは、「親子の価値観の不一致」が根底にあると考えています。お互い異なる価値観のぶつかり合いが、衝突を誘発していると考えていいでしょう。価値観は目に見えないため、つい見える世界の何か(ゲームなど)に原因があるように感じてしまうのですが、もっと根本に問題があるのです。

筆者は現在、Mama Caféというカフェスタイル勉強会を開催しており、年間1500人の参加者から相談を受け、さらにSNSや音声配信からの相談も年間1000件以上受けています。これらの相談内容の実態から、親子の衝突の原因のほとんどは価値観の衝突であると痛感しています。しかも、次の3つのケースのいずれかの衝突が起こっています。

1.「好き嫌い」の価値観 VS「損得」の価値観

大西さんのケースでいえば、子どもはゲームが“好き”なので、時間さえあればゲームをやります。一方で、親は、ゲームもいいけど、早く勉強をやってしまったほうが“得“であると考えたりします。これは、好き嫌いという価値観と損得という価値観のぶつかり合いになります。価値観が異なるため、話が噛み合うことはありません。

2.「一点重視」の価値観 VS 「バランス重視」の価値観

ゲームが好きな子の生活はゲーム中心で考えられており、それ以外の活動(勉強や食事など)は補助的活動と思っている節があります。そうでなければ、生活時間の大半をゲームに注ぎ込むことはないことでしょう。そのため、子どもはゲームをいつやろうと、どれだけたくさんやろうとそれが間違ったことではないと思っている可能性があります。一方の親は、ゲームもいいけども、勉強やその他の活動とのバランスが大切であると思うことが少なくありません。

この一点重視型とバランス型では、そもそも生活全体のあり方について齟齬があり、この価値観の不一致がわからなければ、「ゲーム時間が長い」「やりすぎ」という言葉で、親子の衝突で終始することでしょう。

*ちなみに双方が同じ「善悪の価値観」で、お互いが異なる正当性を主張すると物事は解決方向へは向かいません。例えば、子どもはゲームを善であると考え、親は勉強が善であると考え、それぞれが自分の主張をすると、トラブルをさらに悪化させる可能性があります。

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