外国人ゼロで気づく「日本のスキー場」の本質 スキーもスノボもしない贅沢スノーリゾートへ

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今後のアジア圏の経済成長を考えると、中期的にはこの希少な資源が大量に降り注ぐ日本の冬山の価値はさらに増す可能性は高いと考えています。

筆者の分析では、各国のスキー参加率(全人口における年1回以上スキー場を訪れる人数の割合。現在の日本は5%程度)は国の経済的な豊かさとリンクしており、スキー場の数などの他の条件が一定であれば1人当たりGDPが1万ドル上がると約1ポイント参加率が上がります。

そう考えると、人口も多く、経済成長の期待値も高く、飛行機で数時間以内にアクセス可能な天然雪の降る大きな山がほぼ日本だけに限られるアジア市場は、今後の地域経済を支える大きな力となるでしょう。

菅義偉首相も官房長官時代に観光戦略実行推進会議において、「まだ知られていない観光資源が多く眠っている」と強調したうえで「4000万人の目標だけでなく、6000万人を目指すだけのポテンシャルが日本にはある。その1つがスノーリゾートだ」と期待を込めて発言されていました。

再び国内の人が「宝の山」を楽しむようになるために

ただ当分の間は、コロナウイルスの関係で非常に厳しい状況になります。長野県白馬エリアは2019〜2020年シーズンには全来訪者の30%に近い約38万人のインバウンド・スキーヤーが来場していましたが、今シーズンはほぼゼロに落ち込むことが確実視されています。

そもそも国内スキー市場は、1990年代のピークから比べるとスキー参加率は3分の1程度に落ち込み、1年間の平均参加回数も約6回から約4回に減少していました。加えて、少子高齢化が進むなかで、スキー参加率が高い10代から40代の若年・壮年層の人口は他の世代よりも大きく減少することが見込まれており、市場縮小が続く危険性が極めて高い状況なのです。

スキー場や周辺施設の廃業が続けば、この「宝の山」が発掘されずに埋もれたままになってしまいます。どうやってafterコロナ期の観光産業の稼ぎのタネとしての力を維持していくのか……。

2020年初頭に複数回開催された「スノーリゾートの投資環境整備に関する検討会」に筆者も委員として参加し、上記課題を議論してきましたが、答えはそれほど多くはありません。1つは前回書いた(Go Toトラベル是非より日本人に必要な視点、2020年8月16日配信)需要平準化に向けたグリーンシーズンの取り組みを加速すること。

もう1つは、冬においても人口の5%しかいないスキーヤー、スノーボーダー市場だけではなく、残りの95%の「ノンスキーヤーにも雪山をリゾート地として楽しんでもらうこと」に焦点を当て、新たな魅力を掘り起こすことです。

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