外国人ゼロで気づく「日本のスキー場」の本質 スキーもスノボもしない贅沢スノーリゾートへ

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こうしたトレンドは、リゾート側だけでの動きではありません。例えば、スポーツ小売り国内最大手のアルペンの二十軒翔 専務執行役員に話を聞くと「スキー・スノーボードの需要が減少して売り上げも落ちているなかで、ウィンター以外の商品をどう売るかがスポーツ小売業としても大事になっている。たとえばアウトドアブランドの高機能なアウターは、10〜11月の2カ月で前年比20%以上伸びている。引き続き、アウトドアのアクティビティをより多くの人に楽しんでもらうことに注力していきたい」と語ります。

スポーツアパレルメーカー側でも、スキーウェアとしてだけではなく、街着として手軽に着ることのできる高機能アウターに力を入れており、手応えを感じているようです。

新たな冬のレジャーとして需要喚起

「ザ・ノース・フェイス」などを手掛けるゴールドウインの森光 第一事業本部長は、次のように言います。

「日本のスキー市場は全体的には横ばい状態で、比較的堅調なバックカントリーを除くとスキーウェア用品としての需要は大きくない。一方、ザ・ノース・フェイスのマウンテンジャケットなど、普段着に使える汎用性があるものは、バックカントリーでの機能性と相まって人気が高い。

ウィンター商品はスキーヤーのみを意識しているわけではなく、スキーをしないスノーリゾートに行く人たちにも有用なウェアやギアの提供をしてきている。スノースポーツをしない人でも楽しめる施設が、日本の冬のリゾート地にも必要」

インバウンドの少ないこの冬こそ、そして海外旅行にも自由に行けないこの冬こそ、日本人のスキー・スノーボードをしない人に「宝の山」の価値を再発見してもらういい機会だと思います。

コロナの影響がある中でも、この夏・秋に大きく需要を伸ばしたキャンプやゴルフ同様に、密を避けて心から安心したレジャーとして「冬の雪山へのお出かけ」が認識されるよう、業界を挙げた新たな需要喚起の取り組みが求められています。

和田 寛 白馬岩岳マウンテンリゾート代表

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わだ ゆたか / Yutaka Wada

1976年生まれ。東京大学法学部卒業後、農林水産省、ベイン・アンド・カンパニーを経て、2014年に白馬で働き始める。

2016~17年の記録的な少雪でスキー場の来場者が激減したことを受け、白馬岩岳マウンテンリゾートの経営者として冬期のスキー客だけに頼らない「オールシーズン・マウンテンリゾート」を目指した改革に取り組む。革新的なアイデアを次々投入した結果、2019年にはグリーンシーズンの来場者数がウィンターシーズンを超え、収益も改善。2022年には18万人(2014年比818%)を超える見込み。

その活躍が大きな話題となり、わずか4年で「ガイアの夜明け」「ワールドビジネスサテライト」など100を数えるテレビ番組に紹介される。

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