「動くガンダム」がついに実現した大きな意味 アニメ開始から40年、実物大ガンダムの舞台裏

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1979年に放映されたテレビアニメ『機動戦士ガンダム』は劇場版アニメやプラモデルブームを通じて多くのファンを生み出した。特にガンダムのプラモデルである「ガンプラ」は、日本だけでなくアジア地域でも高い人気を誇る。同社にとってもガンダムは最重要のIPであり、さらなる世界展開の可能性を秘めている。

入場料金は大人1650円(税込)。動くガンダムを間近に見ることができるGUNDAM-DOCK TOWERには観覧料金が別途3300円(税込)かかる(撮影:今井康一)

バンダイナムコHDがハイターゲット(大人層)向け玩具として展開するガンプラは、コロナ禍でもネットを通じた販売戦略を強化した。その結果、巣ごもり消費をうまく取り込んだこともあり、好調だった。

今後はアジアに続く育成市場として、北米への展開を加速する。北米の小売りチェーン・ターゲットなどでガンプラの販売が好調だったことから、直近ではウォルマートでの販売開始も決まった。海外での展開拡大に備え、同社はガンプラの国内工場を増床。12月1日から稼働を開始している。

上海やドバイにも展開、ハリウッド映画化も

今回完成した動くガンダムは、より幅広いIP認知やファン拡大のための広告塔としての役割も大きい。プロジェクト実現のための総工費は非公開としているが、この施設への入場料収入や、現地でのグッズ販売、飲食事業で、2022年3月末までの開催期間内での収益貢献も見込めるという。

左からGGCディレクターの川原正毅氏、石井啓範氏、吉崎航氏(写真:(C)創通・サンライズ)

こうしたガンダムのIP戦略は2021年以降、海外でも強化していく。2021年に中国・上海市に実物大の「フリーダムガンダム立像」が設置される予定だ。「フリーダムガンダム」は2002年にアニメ放送された『機動戦士ガンダムSEED』に登場し、海外での人気が高い。

さらに、2021年10月から始まるドバイ万博でガンダムが日本館PRアンバサダーを務めるほか、ハリウッドでの実写映画の製作企画(公開時期未定)も進んでいる。

今回のプロジェクトにとどまらず、新しい話題を提供し続けることで世界からも注目が集まる。こうした取り組みはIP価値を最大化させ、世界規模のエンタメビジネスを育成するモデルケースといえそうだ。

菊地 悠人 東洋経済 記者

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きくち ゆうと / Yuto Kikuchi

早稲田大学卒業後、東洋経済新報社に入社。流通・小売業界の担当記者を経て2017年10月から東洋経済オンライン編集部。2020年7月よりIT・ゲーム業界の担当記者に。

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