アメコミ映画「何作出ても」ヒットが続く理由

著作権を出版社が持ちストーリーを「いじれる」

そもそも、アメコミのコンテンツとしての強さ、特徴は、次のようなことだ。

① キャャラクターは品行方正で不老不死

コミックやアニメのキャラクターは、もちろん不老不死であり、品行方正である。麻薬や暴力などの違法行為や、セクハラ・パワハラなど不適切行為をすることはない。

② 経済的価値が減価しない

著作物という概念で、無形の知的財産であるが、会計的に認識されることは、ほぼない。実際に経済的価値を有するが、会計的に認識されないので、減価もしない。貨幣製造機のような商材である。ブランドやキャラクターの「開発費」は繰延資産として計上され、償却される。しかし、アメコミのキャラクターのほとんどは、開発費はかかっていないか、かかっていたとしても償却済みである。

③ ハリウッド映画にぴったりのアメコミ

アメコミのヒーローものは、ハリウッド映画との親和性が高い。映画になじむということである。安心して観ることができる勧善懲悪的なストーリー、誰でも知っているメインキャラクター、個性豊かな敵役やその他のキャラクター、派手なアクション。3Dや4Dでの映像・音響映え。まさにハリウッド映画にストレートになじむコンテンツである。

④ 出版社が著作権を持っている

①〜③の特徴は、アメリカだけでなく、日本のマンガやアニメについてもいえることではあるが、ここから先は話が変わってくる。アメリカの場合、コミックの著作権(キャラクターやストーリー)を出版社が所有していることがほとんどなので、作家の死亡や個人的事情によって著作権が移転することはない。出版社は、時代や環境の変化に応じて、キャラクターの造形を変えることが可能である。時代や環境に合わせてキャラクターとストーリーを改変し、ビジネス的な最適化を図ることができる。ビジネス判断で、リニューアルやリメイク、スピンオフやクロスオーバーが可能なのだ。

アメコミのキャラクターが不老不死である背景

実は、出版社が著作権を持っていることが、「キャラクターが不老不死である」ことを可能にしている。

キャラクターは死なないが、原作者は人間であるから、やがてこの世を去る。著作権が個人に帰属していると、その個人の死亡とともに著作権の移転が起こり、相続トラブルで権利が雲散霧消したり、相続人の意向などで権利が凍結されたりする。そうでないとしても、困ったことに、原作に誰も手を入れられなくなる。

原作を修正したり改変を加えたりすることができるのは本来、原作者だけなのだが、その原作者がいないので、修正も改変もできなくなってしまう。個人の相続人は、滅多に原作をいじることはしない。結局、時代の変化に対応した改変をすることが難しくなってしまう。絵のイメージや設定などは、時間の経過で、どうしても古く感じられてしまうようになる。

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