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キャリア・教育 #アフリカでどぶ板営業

世界一貧しい大陸、アフリカは変わるか? 当たり前のことを、当たり前にする難しさ

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  • 小辻 洋介 International Finance Corporation(世界銀行民間投資部門)ケニア事務所勤務
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教育が行き届いていないから、優秀で責任感のある人を採用するのが難しい。道路や鉄道などのインフラが整っていないから、モノを輸送するのにおカネや時間がかかる。工場が汚くて、無駄が多い。ミーティングが時間どおりに始まらない。仕事の締め切りが守られない。政府の汚職があって、賄賂なしでは物事が進まない。こういうことが積み重なって、どんどん仕事が遅れていきます。やりたいことがやれないうちに、1年や2年なんて時間はあっという間に流れていってしまいます。

自分だけが速く回る歯車になっても……

アフリカに来てすぐの頃のことです。ある企業への融資案件を投資委員会にかけようとして、毎晩夜遅くまで事務所に残って、一生懸命、審査資料を準備しました。1日も早くおカネを出して、プロジェクトを前に進め、ひとりでも多くの雇用を生み出してほしい、そういう思いだったのです。

しかし、審査のためにどうしても足りない資料がありました。その企業に、「これがないと投資委員会に行けませんから、絶対に、期限までに準備してくださいね」と何度もお願いしたのに、結局期限に資料が間に合わず、それまでの努力が水の泡になったことがありました。

同僚のガーナ人のサムに、こんなことがあって……と愚痴を言ったら、彼が言いました。

「ヨースケ、工場の歯車を思い浮かべてみてくれよ。もし、工場の中で歯車がひとつだけ速く動いていて、残りの歯車が遅く動いていたらどうなる?

「そりゃあ、速い歯車が遅い歯車にブロックされて回らないか、磨耗して壊れてしまうか、ですよね」

「そう、君は、工場の中でひとつだけ速い歯車なんだよ。ゆっくりした周りの歯車に合わせないと、君が壊れてしまう」

この言葉を聞いて、僕は、「確かにそのとおりだ、どんなに自分が頑張ってもどうしようもないことばかりだ……」とがっかりしたものです。これを見て、読者の皆さんは、こう思われるかもしれません。でもそんなの、当たり前のことが当たり前にできないだけじゃん、と。

そのとおりなんです。アフリカでは、当たり前のことが当たり前にできていないだけなのです。しかし、このとても単純な事実が、発展の足かせになっている。

じゃあ、当たり前のことが当たり前にできるようになるためには、何が必要なのか。

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【『坂の上の雲』から考える】

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