世界一貧しい大陸、アフリカは変わるか?

当たり前のことを、当たり前にする難しさ

先日、司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』を読み終え、ここにヒントがあると思いました。少し長いですが、引用します。

『坂の上の雲』より
〈ところが、(明治)維新によって日本人ははじめて近代的な「国家」というものをもった。(中略)たれもが、「国民」になった。不馴れながら「国民」になった日本人たちは、日本史上の最初の体験者としてその新鮮さに昂揚した。このいたいたしいばかりの昂揚がわからなければ、この段階の歴史はわからない。
いまからおもえばじつにこっけいなことに米と絹のほかに主要産業のないこの百姓国家の連中が、ヨーロッパ先進国とおなじ海軍をもとうとしたことである。陸軍も同様である。人口五千ほどの村が一流のプロ野球団をもとうとするようなもので、財政のなりたつはずがない。
が、そのようにしてともかくも近代国家をつくりあげようというのがもともと維新成立の大目的であったし、維新後の新国民たちの少年のような希望であった。少年どもは食うものも食わずに三十余年をすごしたが、はた目からみるこの悲惨さを、かれら少年たちはみずからの不幸としたかどうか。
(中略) 社会のどういう階層のどういう家の子でも、ある一定の資格をとるために必要な記憶力と根気さえあれば、博士にも官吏にも軍人にも教師にもなりえた。そういう資格の取得者は常時少数であるにしても、他の大多数は自分もしくは自分の子がその気にさえなればいつでもなりうるという点で、権利を保留している豊かさがあった。こういう「国家」というひらけた機関のありがたさを、よほどの思想家、知識人もうたがいはしなかった。
(中略) 政府も小所帯であり、ここに登場する陸海軍もうそのように小さい。その町工場のように小さい国家のなかで、部分部分の義務と権能をもたされたスタッフたちは世帯が小さいがために思うぞんぶんにはたらき、そのチームをつよくするというただひとつの目的にむかってすすみ、その目的をうたがうことすら知らなかった。この時代のあかるさは、こういう楽天主義(オプティミズム)からきているのであろう。
このながい物語は、その日本史上類のない幸福な楽天家たちの物語である。やがてかれらは日露戦争というとほうもない大仕事に無我夢中でくびをつっこんでいく。最終的には、このつまり百姓国家がもったこっけいなほどに楽天的な連中が、ヨーロッパにおけるもっともふるい大国のひとつと対決し、どのようにふるまったかということを書こうとおもっている。楽天家たちは、そのような時代人としての体質で、前をのみ見つめながらあるく。のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲がかがやいているとすれば、それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう。〉
※ 太字は筆者が追記。

開発に必要なのは、社会全体の集団的な力

司馬さんの文章は、アフリカにとっても、ものすごく関連の深い内容だと思います。

この大陸で働いてきてつくづく思うのは、アフリカの運命はアフリカの人たちが握っているということ(こうやって書くと、当たり前のことですが)。

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